早起きしてお弁当作ったんだ



ここはとある公園。今どきの公園にしては珍しく、野球ができるスペースがある。
私を含め、毎週土曜になると、所属している草野球チームでにぎやかになる。

私には、最近気になる人がいる。
その人はとにかく明るくて、しかもどのポジションもこなすというすごい人だ。

だから、今日私はお弁当を2つ作って、あこがれの彼に近づこうという作戦を立てた。

「十四松くん、よかったらこれ食べてみて?」

十四松はおにぎりを毎回持ってくるのだが、全部塩むすびのようだったので、
頑張っておかずを作ってきたのだ。

「わー!ありがとうチロルさん!食べていいの?!!」
「どうぞどうぞ。キミに食べてもらいたくてつくったんだからね。」
「すごいね!たこさんウインナーに卵焼き、からあげ、…ゆで野菜?」

どれから食べようかな、と十四松は目を光らせていた。
好きなのからどうぞ、と私から言うと、「いただきまーす!」と、嬉しそうに、そしておいしそうに食べていた。


 *


「おなかいっぱーい!チロルさんありがとう!」
「お粗末様です。喜んでくれて、私、うれしかったよ」
「あのさ!!」
「どうしたの?」

十四松が上を向いて何やら考えている。

「あのね、友達出来たって、兄さんたちに紹介していい?」

私は「なあんだ、そんなことか。いいよ!」と安請け合いしてみた。

「チロル、カルピスあるからうちでみんなでのもう!!」

十四松は私の手を握り、「いこうよいこうよ!!」と急かす。
私はいそいで広げたお弁当を片付け、一緒に走った。


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続く。



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