鎮痛剤を飲む/ギャンブルに勝つ

今日はシンプルに日記をタイヘーちゃんに置き換えました。

B01:鎮痛剤を飲む/ギャンブルに勝つ

しとしと。しとしと。今日は雨が降っています。
昨日の晩からお耳がキーンと痛み、大好きなうたちゃんとのお遊びの予定もキャンセルになりました。

コーヒーの豆を電動ミルに入れて、お湯を沸かしながら病院のwebサイトを見ます。
どうやら、予約はここからするそうです。

「もしもし。もしもし。病院ですか」
「はい、そうですが」
「ぼくね、初診だから、診察券ないの。お電話で予約できる?」
「診察券番号を000にしてweb予約してくださいね。web問診はお済みですか?」
「はい。さっき しました。ありがとうごじます」

ぽち。ぽち。スマホをいじって病院を予約します。

「たいへん。バスに乗らないと 間に合わない!」

淹れたてコーヒーとバナナをそのままに、タイヘーちゃんは病院に行きました。

 *

「お耳、異常はないねえ、うさぎちゃん。一応、聴力検査しとこうか」

タイヘーちゃんは小さな窓付きの箱に座り、ヘッドホンをつけてボタンを持たされました。

「音が鳴ってる間、押し続けてね。何か困ったことがあったら、窓をコンコンってたたいてね。」

ドアが閉まって、軽く耳鳴りがします。

ピー……

微かに、音がします。タイヘーちゃんはボタンを押しました。

ピー……ピー……

ボタンを何回か押すと、ドアが開いて診察室の隣の椅子に座って待つように言われました。

「聴力に異常はないし、お薬だけ出しとくね。痛かったら飲むんだよ」

 *

ファストフードのお店で、チーズベーコンエッグバーガーを齧って、お薬を2粒飲みました。
1つは鎮痛剤、もう1つは胃薬です。

「あめ……ファストフード……」

タイヘーちゃんは行きつけの喫茶店の友達・ギャンブルマスターのクイーンを思い出しました。
彼女が亡くなって1年。所持金はちょっとだけでしたが、追悼打ちをしたくなったのです。

駅前のパチンコやに入り、1タンカ(千円)を機械に通し、すぐに返金してもらいました。

「いけない、いけない。身銭を切ってはだめってクイーンが言ってた」

そう思いつつも、おうちの貯金箱の中にはちょっとお金があったし、もうすぐ給料日です。

……ちょっとなら。

タイヘーちゃんはいつものマッスル・ガールズの台に座ってお金を入れました。
しばらく黙って回していましたが、資金が底をつくちょっと前に当たりました。
ジャラジャラとボールが出てきて、箱1.5個分出ました。
そこでフィーバーが終わったので、店員さんを呼んでボールを数えてもらいました。

ジャラジャラジャラ。1938玉、1セントぱちんこで出ました。
上の景品交換スペースに行き、「サランラップください!」とタイヘーちゃんは元気よく言いました。

「全部ですか!?あるかなあ……」

店員さんは困り気味です。

 *

結局、タイヘーちゃんはラップ8本と飴2個、クッキー1枚をもらいました。
リュックにラップを刺して、ミントストロベリー飴を舐めながら、上機嫌でバスに揺られます。
もらったラップでどんな料理を作ろうか。ときめきが止まりません。

「ありがとう、クイーン・テルコ」

おうちに帰ったら、クイーンの好きなお菓子を焼いて、写真の横にお供えしよう。
そう思ったタイヘーちゃんでした。

#2023.8.9.19:37

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