魔法のバレンタイン

ぼく、タイヘー。
今日はバレンタインだから、アパートの喫茶スペースでお菓子を配るの。

「ん!タイヘーさん、これは?」

一口頬張ったクリーム食べ食べおじさんが笑顔になったよ。
僕はうれしくて、手をパタパタさせながら説明してあげたよ。

「豆乳生チョコだよ。
 お粉は ヤーパンから取り寄せた フリーズドライの甘酒の 廃棄される粉のとこ。
 SDGsっていう取り組み、ぼくもしてみたの。」
「よくわかんないけど、これなら様々な食生活の人が食べられるね。偉いね、タイヘーさん」

朝の空気がひんやりしてる中、クリーム食べ食べおじさんはホイップクリームを冷蔵庫から取り出すと、
テーブルに置いて、専用のポットにティーバッグとたっぷりのお湯を注いでた。


夕方。チョコは半分無くなっていて、喫茶スペースはこれから忙しくなるところ。
アパートに住む皆様が帰ってくるし、今日は晴れだしバレンタインだから、
テラスまでお客さんがいっぱいだった。

「こんばんわ。うさぎさん。今年のバレンタインは?」
「へい!ドリンク1杯につき 3つぶ、甘酒生チョコが つきます!」
「へー!こんなところにまで、ヤーパンの文化がね。このチョコ、買えるかい?」
「へい!お持ち帰りですね!6粒300セント(300円)になります!」
「え?!ドリンク1杯で150セントもおまけしてるのかい?!」
「バレンタインですから」

驚くお客さんに照れていたぼくでした。

「よっす!」
「あ!」

遠くからタオお兄ちゃんが手を振っていた。

「あら薬剤師さんじゃん。イメチェンした?」
「はい、髪を少し切りました。」
「タイヘー、俺もチョコ頂戴」
「ヘイ!飲み物は?」
「ホットのさんぴん茶で」

ぼくはジョッキにホットのさんぴん茶をいれて、お盆に乗せて一生懸命運んだよ。
よいしょ。テーブルにお盆ごと置く。横には2皿の生チョコ。

「サンキュー!」
「あれ?コノお兄ちゃんは?」
「そろそろ来るんじゃない?ぱく。うーん、この生チョコクセになるね。甘い」
「うれしい!」

僕が両手を上げてどたどた走ってると、タオお兄ちゃんがコノお兄ちゃんのチョコに息を吹きかけた。
白い甘酒の粉が虹色になった。

「うわあ……!」
「これ、コノ君専用ね。」

魔法がかかった甘酒生チョコ、きっとコノお兄ちゃんも喜んでくれるよね!

2024.2.14.20:28 st.varentain



この生チョコの作り方。

チョコ2枚(100g)を細かく割って、500wで2分レンチン。
大匙擦切り2杯(30ml)の無調整豆乳を混ぜ、塩一つまみを入れてさらに混ぜる。
クッキングシートを敷いたタッパーに広げ、1時間冷凍。

フリーズドライの甘酒を半分に割り、ミニすりこぎで粉にする。

固まったチョコを切り分け、粉をかけてできあがり。

※参考資料:もっと!ぼくのおやつ P62「生クリーム不使用のお手軽生チョコレート」

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