熱を出す

今日のタイへーちゃんはちょっと調子が悪いみたいです。
大丈夫かな?

7:熱を出す

今朝、タイへーちゃんはとてもふらふらしています。

「あついし あたまいたい」

タイへーちゃんはうさぎロボット用の風邪薬を飲み、カスタマーセンターに連絡しました。
ロボットのお熱は命に関わります。

カランラン。氷をグラスに入れて、野菜ジュースをそそぎます。とぽとぽ。
今日はちょっとこぼしちゃった。

ソファに座って、珍しくテレビをつけます。
ケーブルテレビのニュースチャンネルに繋いで、ボーっと見ながら野菜ジュースを飲みます。

「おかあさん……」

不安で、涙が出てきます。
スマホのうさぎの学校アプリを起動しました。
ぴ。ぴ。お母さんを呼び出します。

「お電話くれるの珍しいね、タイへー。心配してたのよ」
「お母さん、あのね、お熱出たの。」
「うん、うん。」
「ぼく 死んじゃうのかなあ」
「お薬は飲んだ?」
「のんだ」
「カスタマーサービスに連絡した?」
「した」

タイへーちゃんの目から涙がぽろぽろ溢れます。
震える声で電話するタイへーちゃんに、お母さんはやさしく話しかけます。

「それなら、もう大丈夫よ。もうすぐケアスタッフがそっちに行くわ。冷たいものをゆっくり飲んで、涙を拭きなさい。ね?」
「うん」
「あと、もっと気軽にお母さんに電話していいのよ。クリスマスにみんながかけてもサーバダウンしなかったでしょ?」
「うん。わかった」

ピンポーン。ドアチャイムが鳴ります。

「診断が終わったらお母さんに連絡するのよ。またね。」

タイへーちゃんはスマホをそのままに、ドアを開けました。

「パパ!」
「お久しぶり、タイへー」

そこには、開発者の皐月誠吾(さつきせいご)パパがいました。
中に入ると、タイへーの頭を撫でてタブレットを起動します。

「お耳にケーブル刺すからね。」

お耳とタブレットを繋いで、画面をタップします。

「タイへー、少し眠たくなりますよ」

タイへーちゃんはウトウトしてきて、気がついたら夕方でした。

「システムをアップデートしたからね。もう大丈夫。ついでに冷却水も飲もうね。」

タイへーちゃんは冷たいプラスチックのボトルを2つ受け取り、1つを開けて飲みました。

「にがーい」
「お薬入りのお水ですからね」

パパがお口周りをタオルで拭いてくれて、頭を撫でて帰ります。

「またね、タイへー。お母さんに連絡するんだよ」
「またね、パパ。」

タイへーちゃんはパパに手を振ってお別れすると、すぐにお母さんと連絡をとりました。

#2023.9.1.10:26

[ 8/19 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

top


- ナノ -