「ねぇ満月、お化け屋敷にいかない?」 ある暑い夏の日のこと。 わたしの彼氏である、木ノ瀬梓の一言で、2人でお化け屋敷に行くことになりました。 僕をみてればいいよ 「梓って幽霊とか平気…なの?」 「うん。」 待ち時間の間、わたしは梓に幽霊とかは平気?と、尋ねる。 それにたいして、梓は涼しい顔をして、平気だという。 確かに、梓が幽霊を怖がるっていうのは想像出来ないけど、ちょっと悔しい。 だって、わたしは幽霊とかが苦手なんだもん。 「まぁ、作りものだしそんなに怖くない…よね?」 「そういえば、ここのお化け屋敷って、かなり怖いことで有名なんだって。」 わたしは少し期待をこめて言ったのに、現実はそうはいかないみたい。 列が進むたびに、中に入っていった人達の悲鳴が聞える。 これは、かなり怖そう。 「梓…ここ、絶対怖いよ!」 「大丈夫だよ。」 「どこが!?」 列が進むたびに、怖さが倍増する。 逃げ出したいくらい。 でも、そうはいかない。 梓がしっかりとわたしの手を握っているから…あれ? いつの間にか、わたしの手は梓に握られていた。 「怖いなら、僕をみてればいいよ。」 「あっ…梓…!」 梓はそう言って、顔を近付ける。 わたしの胸は、ドキドキして怖いって思うどころじゃなくなる。 「だから、僕を見てなよ?」 「…うん!」 怖いお化け屋敷も、梓と一緒ならたまにはいいかもしれない。 そんなことを思ったある夏の1日。 end 2011.08.04 ← |