「誉…ぎゅってして?」

「いいよ。ほらおいで。」



たまに寂しくなって、誉に甘えたくなる。
誉は同い年なのに落ち着いていてるし、しっかりしていて。
子供っぽいわたしとは大違い。
いつも頼ってばかりで申し訳ないと思ってしまう。



たまには甘えたくなるんです



「満月さん、遠慮しないでもっと甘えてもいいんだよ?」

「誉…いいの?」

「もちろん。だって、僕は満月さんに甘えられるの好きなんだから。」



誉の言葉に、わたしは彼の腰に回した手に力をいれる。
ずっと近くにいたのに、さっきよりももっと近づいた気がする。
なんだか不思議。



「満月さん…?」

「なに…あっ…」



名前を呼ばれて上を向くと、誉に口づけされた。
いきなりの行動にびっくりはするけれど、悪い気はしない。
だって、誉のキスはいつも優しいから。



「誉、いきなりは反則!」

「満月さんがかわいいことばかり言うからだよ。」



誉はそう言ってもう一度わたしの唇に口づけを落とす。
それはやっぱり優しくて…わたしを幸せにしてくれたの。



2011.12.19






BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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