「ねぇ、梓!あれって夏の大三角形じゃないかな?」

「本当だ。って、何してるの名前!」


僕の返答を聞きながら、彼女は手を伸ばす。
まるで、星を掴もうとしているようだった。



ほしはなび



「あの星が掴めないかな?って思って…」


名前は、少し寂しそうにそう言った。


「なら、掴めないけど、もっと近くで星を見せてあげようか?」


星を掴めないかなと、そう言った名前がすごく寂しそうで、僕はそう言った。
星とは違うけど、少し似ている。
そんな、綺麗なものを。
名前に見せてあげたくて。


* * *


「夏祭りなんて、久しぶり!梓、誘ってくれてありがとうっ!」

「僕も、久しぶりに行きたいと思ったんだ。」


楽しそうにわたあめを頬張る名前を見て、誘ってよかったと思った。
彼女の笑顔は、僕の力になる。


「あっ…花火が上がったよ!」


夜空に、花火があがってきらきらする。
それに名前は手を伸ばす。


「光が近い…ね。」

「そうだね…。」


彼女は花火に愛しそうに手を伸ばす。


「お星さまみたい。すごくきれい。」


そう言った彼女が幸せそうに笑ってくれていて、僕も思わず笑顔になった。


「名前、また一緒にこよう。」

「うん!!」


夏の夜の一時。
梓くんと一緒にみた花火は今まででいちばんきらきらしていたの。





end.


2011.08.21

星の王子様」に提出させていただきました。
素敵な企画、ありがとうございました!






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