6年生 六年生。 あまりシリウスおじさんが好きではなかった。シリウスおじさんが私を通してパパを意識するのは仕方のないことかもしれないが、面白くない。ついでに言えば、ダンブルドア先生のことも好きではなかった。なにもかもを見透かす瞳は全てを悟られてしまいそうで恐怖すら感じる。 “ハリー”と違う感情が私の中にたくさんあった。 「シリウスおじさん、ダンブルドア先生、スネイプ先生――これから、みんなが死んでいく」 目を閉じて、目の前でディゴリーが死んだときのことを思い返す。誰が死のうと興味はなかったが、輝かしい未来のあるディゴリーは救うべきだと思ったし、幸いなことにディゴリーを救うのは容易だった。だから、ディゴリーに寮杯を掴ませなかった。それで彼は助かるはずだったんだ。――だが、彼は死んだ。 ディゴリーが死んだとき、震えるほどの恐怖を覚えた。ヴォルデモートと対面したときよりもディメンターに幸せを奪われたときよりもドラゴンと戦ったときよりも、心底怖かったのだ。“ハリー”の人生を歩むしかない私に、生きる意味などあるのだろうか。 120722 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |