増え続ける仕事

 ソファーの向かい側に腰を下ろした雲雀くんは、退屈そうに欠伸をした。眠いのかと問うと彼は首を横に振り、机の上に一束書類を乗せる。また増えた仕事に頭を押さえつつ、仕上げた書類を雲雀くんに差し出す。

「いちいち僕に確認をとらなくていいよ。君はどうやら、書類整理が得意みたいだから」

 突き返された書類に首を傾げていたら言われた言葉で、偽造されたらどうするのだろうと片眉を動かすも、それだけ信頼されているということにしておいた。
 応接室の備品を自由に使うことを許可されていて、勝手に煎れたお茶をすすっていると、雲雀くんの視線を感じ、雲雀くんもお茶を飲みたいのだろうかと、湯のみにお茶を煎れて差し出すと、彼は無言でお茶を口に運んだ。一気にお茶を飲み干した雲雀くんに、そんなに喉が渇いていたのだろうかと、もう一杯お茶を煎れる。どうぞと雲雀くんにお茶を差し出して気づいたのだが、ほんのりと彼の顔が赤い。

「雲雀くん」
「……」
「……雲雀くん?」
「…………なに」
「顔が、赤いですよ」

 手を伸ばして彼の額に乗せると、熱が伝わってくる。平熱より熱いのかそうでないのかはわからなかったが、子ども体温である私の手が触れた瞬間、気持ちよさげに目を細めた彼は具合が悪いらしい。

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