「まぁな…」
よっ…と土方は立ち上がり大量の薬が入った箱を背中に背負う。
「………一緒に行くか…?」
「!!い、いいの…?」
「俺の邪魔をしないって約束が出来るならな」
「うん!約束するッ!」
満面の笑みで千歳は土方の着物の袖を掴んだ。
「歳三さま…今日は小さい子を連れてご商売ですか…?」
町に出れば身なりの整った娘が声をかけてきた。
「お琴さんか…」
お琴と呼ばれたその女性は土方から千歳に視線をずらしそっと微笑む。
「!」
人見知りな性格がある千歳は土方の後ろに隠れお琴を見る。
「うふふ…可愛らしいですね」
「単なる恥ずかしがり屋なだけだろ」
「それがまた可愛らしいんですよ」
千歳は2人を見上げていた。
この上品に笑う女性が土方の許嫁である事が分かるのはすぐ後の事だった。
→日常 完
20110126