「本当にすまねぇ」
「………気にしてないから」
結局ドン引きしてしまった相手は「失礼」と一言言って部屋を出ていってしまっ
た。
「俺があんな事言ったせいでお前の見合い話を潰しちまった」
「だから気にしてないって」
「…………」
『…正直…』
ピタリと千歳が止まる。
「井上さん以上に年が上の人とは婚姻なんかしたくなかったから助かった」
千歳は冗談まじりににこっと微笑む。
「……はぁ〜」
歳三は急にその場でしゃがみこむ。
「この前俺が変な事しちまって以来お前の笑った顔を見てなかったから安心した
」
「あれは……確かに急でびっくりしたけど…悪い気はしなかったから…」
「は…?」
「あ…何でもない!気にしないで!」
千歳は慌てて言い直した。
「よく分からねぇやつだな」
歳三はくしゃくしゃと千歳の髪を撫でる。
「帰るか」
「うんっ!」
夕焼けの中お互い自然と手を繋ぎ帰路についた。
(その振袖似合ってるぜ)
(そ、そうかな?ありがとう/)
→見合い 完
20110202