05
「……だから要するに、名前のとこのおじさんとおばさんが二人揃って海外に出張になったから、ここに預けられた、って事であってる?」
「う、うん……。そんな感じかな。」
「ふーん……。大変だったね。」
労うように声をかけられ京治くんの方を向こうとしたらその前に頭を撫でられた。
そしてそのままぐしゃり、と掻きまわされる。
「うっ、な、何するの京治くん!!」
急いで京治くんの手を払いのけて髪の毛を整える。
「あはは、ぐしゃぐしゃ。」
「わ、笑い事じゃないよ!」
何、京治くん髪の毛わしゃわしゃするの好きなの。
私のこと犬とか猫だと思ってるの。
「ごめんって。」
今度はあやすように頭をポンポンと叩かれて、心があたたまる。
じんわりと、あったかくなるんだ。
「はい!名前ちゃんの説明も終わったとこだし、ご飯にするわよ!」
「おれ腹へった。」
「なら手伝いなさい京治。」
「あ、私も(今度こそ)手伝います!」
「うふふ、ありがとう。こんな女の子ほしかったの、お母さん嬉しいっ!」
「母さん、名前困ってる。」
………あったかい。
こんなに賑やかなのはいつぶりだろう。
でも一番はきっと、
「名前、これ運んで。」
「、はい!」
京治くんがいるからだ。
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