04
「母さんから晩ご飯だって。起こしてきてくれって、頼まれたんですよ。」
「も、もうそんな時間ですか……!?」
やばい、十分って思ったのにだいぶ寝過ごしたみたいだ。
「とりあえず、リビング行こう?」
「うん、……あ、京治くん。」
京治くんの袖をちょいちょい、と引くと不思議そうな顔で振りかえってくれた。
昔もよく見た私の好きな顔。
「おかえり、部活お疲れ様です!」
京治くんは少し目を見開いて瞬きしたあと、
「ありがとう。」
そう言ってへにゃりと笑った。
□ ■ □
「二人とも遅かったじゃない!何してたの?」
「「何もしてません。」」
おばさんがにやにやしながら尋ねてくるが、本当に何もしていない。
京治くんの方を見るとうんざりしたような顔をしていて少し、ほんの少しだけ胸が痛んだ。
(京治くんにとって、私は妹みたいなものだし、こんなこと言われて迷惑してるよね…)
「…………名前?」
「え、わ、わ!?」
いつの間にか目の前に京治くんの顔があって驚いた。
「どうしたの?気分悪い?」
「え、ううん。へっちゃらだよ?」
どうして、という風に首を傾げれば、
「今、少し悲しそうな顔してた。」
京治くんの言葉に少なからず動揺した。
「悲しそうな顔なんて、してないよ。大丈夫!」
「………………。」
納得出来ない、という顔をしていたけどそっか、と言って引いてくれた。
心の中で京治くんにごめんね、と謝り
「あ、あの。」
京治くんにどうして私がここにいるかを説明しようと思った。
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