03
「………失礼します…。」
小声で呟いてドアを開ける。
そうしたらベッドで誰かが寝ているのが分かった。
(ベッドなんて、いつからあったんだろう……。)
そう思いながら少しずつベッドに近づく。
ドクドク、ドクドク
心臓が、煩い。
そして、ベッドの脇に立つ。
「うぅ………ん。」
「…!な、…!」
寝返りをうった彼女の顔が月の光りに照らされて見える。
そこにいたのは、
俺がずっと、
焦がれていた、彼女だった。
□ ■ □
誰か、私を呼んでいる?
「起きて、起きてください。」
「う………ん、」
まだ、眠いの、邪魔しないで、
「起きて名前。晩ごはんだって。」
…………う?
あれ、この声………。
「け、じくん?」
「!………うん。おはよう名前。」
ぱちり、と目が覚める。
え、ちょっと待って、
「京治くん!?」
「なに?」
「な、な、な、なんでここにいるんですか………!?」
「……?ここは俺の家ですよ?」
「あ、それもそうでした。………って事じゃなくてですね!」
「………?はい?」
「な、なんで私の目の前にいるんですか………?」
今、暗くてよかった。
絶対、顔真っ赤だよ。
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