優しい口づけを



※学パロ



私には付き合ってる人がいる。

勇気を出して玉砕覚悟で告白したら
その返事は意外にもオッケーだったので
すごく嬉しかった。




のだが。





彼は、モテるのだ。


付き合っていても、その事実が私の心を
重くした。


こんな平凡な自分とみんなの憧れである彼が付き合っていていいものか。


そしてもう1つ。


付き合ってからというもの、彼が自分に触れてくるという事がない。


私達は高校生でまあ思春期真っ只中なのである。
それなのに手を出してこない、というのは
自分に魅力がない、と言われているようで
へこむ。








「あなたって人は………。
それはあまりにも天火が可哀想だわ。」


呆れたような目で親友であるきーちゃんにずばり言われた言葉。

「で、でも天火くん、付き合うようになってから私の目を見る事、すごく減った。
たまに目があっても、すぐに逸らされちゃうし。何回も続くと嫌われてるのかなって
思っちゃうよ。」




……好き、なのに。


頑張ったのに、な。


かっこいい天火くんに釣り合うように。




「まあ…天火が悪い所もあるけど、
名前ももう少し信じてあげて?」


絶対、大丈夫だから。


きーちゃんが微笑みながら言ってくれた言葉は、私の心にすごく染みた。








□ ■ □





きーこに呼び出されて放課後の屋上に向かう。


(俺なにかきーこにしたっけ…)


いや、何もしてないはずだ。



「名前の事よ。あの子不安がってるわよ?」


「うっ……!」


「…なにそれ。あんたそんなんじゃ」




名前、他の男に捕られちゃうわよ?



悪戯っ子のように笑ってきーこは屋上から出ていった。




「……んだよ、それ」


捕らせやしねーよ。
ようやく、手に入れたんだ。



「っし!覚悟、決めっか!!」




□ ■ □





きーちゃんに言われて放課後の教室でずっと待ってるけど……


(暇…だな。)




本でも読んでよう!







「あ、苗字さん!ようやく見つけた!」



「はい?なんですか?」


誰…だろ?



「隣のクラスの大河って言います。
俺、ずっと、苗字さんの事が好きなんです。
だから、俺と付き合ってください。」



真剣な目で告白をしてくれた大河くん。




「……ごめんなさい。あたし付き合ってる人がい「曇の奴だろ?俺は、あいつより苗字さんを好きでいる自信がある。」



早口で被せられた言葉は少なからず私の心を揺らした。



「………でも!」



私が好きなのは、天火くん、唯1人なの。







「そっか。………なら、仕方ない、か。」






そう言って大河くんは私に近づいて





床に押し倒した。







「既成事実でも作っちゃえば、いいか」



「!!」




人懐っこそうな笑みを浮かべているけれど
目が全然笑ってない。





怖い。怖い怖い怖い怖い。



「ゃ、や、やだ!離して!」


「怯えてる声も可愛いね。でもかえってそそる。」




嫌だ!嫌だ!


天火くん、天火くん



「天火くんっ!」








「俺の可愛い彼女に、何してる訳?」



そう言うやいなや、大河くんを蹴飛ばした。


「…ぐっ…!」




「二度と、名前に近づくな。」










そのあと、大河くんはすぐに帰った。


「あ、あの、天火くん。」



助けてくれて、ありがとう。
もう大丈夫だから。



「あのなぁ。そんな顔で言われても説得力の欠片もねえぞ。」



そう言って天火くんは私を抱き寄せた。



「てっ、てててて天火くん!?」




「ごめんな。俺がもっと早く来てたら。」


天火くんのつらそうな声が落ちてくる。

違うよ。




「それは違う!天火くんは私を助けてくれた!私、すごく嬉しかったの。もう、ダメかと思ったから。」


でも、天火くん、来てくれた。


「だから、大丈夫。


ありがとう、大好き。」






「……っ!…お前なぁ……!!」



今、なんかすごい事言ったよね私。


どうしよう!穴があったら入りたい!

つか私今天火くんに抱き締められてるし!


「て、天火くん、そろそろ離して…?」


恥ずかしくて顔から火が出る…!


「…嫌だね。」


「へっ!?」


「………ようやく、手に入ったんだ。もう二度と、離してやるもんか。





俺だって名前の事、好きだ。」


そう言って腕の力を強める。


「ほんと………?」



あたしの事、好きってほんと?



「…ああ。好きだよ。」




どうしよう。
嬉しすぎて、泣きそうだ。



「泣くなよ…。」


そう言って優しく瞼に口づけてくれる。

次に頬、鼻、目。


「……っ!」


恥ずかしいけどやめてほしくない。
不思議な感じだ。




「これからは、遠慮なんてしねえ。」



だから覚悟しとけよ?



そう言って意地悪そうに笑った天火くんは
最高に甘い口づけをくれた。







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初めての短編…!

短編っていうには長い!おかしい!


しかもラストが雑。

ほんと救いようがないね。←

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