最後くらい
子供の頃から、兄弟同然のように育って。
一緒にいるのが、当たり前になってた。
もっと早く、気づいて離れる事が出来たなら。
今、こんな気持ちにならなくても、よかったのかな?
「お邪魔しまーす!」
「おう!早く入れ!」
笑顔で私を招き入れてくれる天火。
今日は、天火の、、天火"達"の新しい家に遊びに来た。
「ほら、ココア。」
「………ありがとう。」
天火が淹れてくれるココアは、多分、世界で1番美味しい。
前にそんな事言ったら、『お前のために上手く淹れるように頑張ったんだから、当たり前だろー?』って言ってたね。
「ふぅ、、美味しい。」
ふわり、笑って伝える。
そうすれば、天火も優しく笑って
「だろ?だって、俺だからな。」
どうしよう、泣きそうだ。
「………結婚、おめでとね、天火。」
ああ、漸く言えた。
天火は、1ヶ月前に籍を入れた。
相手の女の人は、とても笑顔が華やかな人で、
「ああ!名前ちゃん!久しぶりだねー!」
「ん?なに、お前帰ってきてたの?」
天火とすごくお似合い。
この人の前でしか出さない表情があるなんて、初めて知った。
照れてるような、でも、幸せそうな表情。
「天火、私この後予定あるからそろそろ帰るね?」
「えー、お前帰っちゃうのー?まだ来たばっかじゃねーか。」
「ごめんね、また遊びにくるからさ!」
ああ、薬指が眩しいよ。
「……ねぇ、天火。」
私、天火の事が、好きだよ。
「んん?なんだ?」
「……ううん!なんでもない!奥さん大事にしなよ?そんな好い人、これから先、絶対!現れないよ?」
「あったり前だろ!?つか新婚にんな事言うな!」
「それじゃあね!あ、今度一緒に買い物とか行きましょうね?」
「ぅえ!?わ、私!?ほんと!?うん!行こう!!」
もう、諦めるから、安心してくたさいね。
扉が閉まる。
「………っ、ひっ、く。」
最後くらい、天火の、自慢の妹みたいに、振る舞えたかなあ。
「ふぅ、ぇん。…ぐすっ。」
大好き、だったよ───────
「 」
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最後の空白は皆さんが思った言葉をいれてみてくださいー。
私的にはさようなら、かなーとか思ってます。