ここがスタートライン





さあ、初めましてを始めようの続き。








天火くんがもう1度約束をしてくれた。
それだけですごく嬉しい。


昔の約束よりも、ずっとずっと、
嬉しくて、




ああ、やっぱり




「好きだなあ…」



「へえ?誰の事?」



「ぎゃあっ!!?へっ?!」



「なによー。恋する乙女な訳?このこのっ!」



「なっ………!そんなんじゃ…!」



「そんな顔で言われても説得力ないわよ?」



「ぐっ……!」



分かってるよ、多分私の顔は真っ赤に染まってるんだって。




「……でも、よかったよ。そんな幸せそうな顔出来るなら、あんたは幸せになれるわ。」



「っ!もうほんと、大好き!」



「あはは!知ってるわ!」





彼女には、天火くんの事で散々心配をかけてきた。
いつもいつも私よりも天火くんに怒ってくれて、すごい嬉しかったのは今でも思い出せる。
それでも天火くんが悪い訳じゃなかったから宥めるのは大変だったけれど。






「あ、バイブ鳴ってるよ。愛しのダーリンからじゃない?」


「もうっ!やめてってば!」



顔の熱が下がらない。ほんと困る。










『今からすぐに会社に来なさい。話がある。』







「…………、なん、なんだろ」



「……どうした?」



黙って画面を彼女に見せる。
画面を見た彼女の顔は強ばっていたが行かない訳にも行かない。



「ごめんね、ちょっと行ってくる。」



「……頑張んなさいよ、ちゃんと応援してるから。」



彼女のこういう所が好きだ。
何も聞かないで、背中を押してくれる所が。




「うん。今度は、絶対に、」




負けるなんて、私らしくない。

ちゃんと伝えよう。
聞いてくれるかなんて分からないけれど、


私の気持ちを。










□ ■ □





「こちらで社長と夫人がお待ちです。どうぞ。」


「ありがとう。」



ここまで案内してくれた人にお礼を言って
深呼吸をする。

よし。



ノックをして部屋に入る。









そこでは、予想外の光景が広がっていた。










「え、え、……天火くん?」



「お、おう。」



天火くんもなんだかこの状況を呑み込めていないようだった。
頭の回りにはてなが浮いているように見えた。









「な、なんで…






父様と母様が酔っ払っているの…………!」



なんでこんな事に!!


「お、俺だって、わかんねえよ!呼ばれて来たら、こうなってて…!」


天火くんは既に疲れきった顔をしていた。
多分絡まれていたのだろう。


色々申し訳ない。




「2人とも!早くそこに座れ!!」

父様が酔っ払っている勢いで話す。
怒鳴ってる、に近いが。




「あー、その、だなー、」


父様はずっとあー、とかえー、しか言わない。

「ふふっ、ははは!」


笑い出したのは母様。
天火くんと2人、ぎょっとして母様を見る。



「この人はね、あなた達に謝りたくて、今日、ここに呼んだのよ。」

穏やかに、だけどはっきりと言葉にする。


「ごめんね、名前、天火くん。
あなたに言った事、とても後悔しているわ。」


「っ…!俺は、!」


「あれ、実は、







君の事、試していたの!」









「「はあ!?!?」」




え、ちょっと待って。母様、今なんて、



「だからもう、2人とも結婚でもなんでもしちゃいなさい!あなた達の絆はちゃぁーんとこの目に焼きつけたから!」



まるで悪戯が成功した子供のように瞳をきらきらと輝かせ、カミングアウトした母様。

「それだけよ?それじゃあ、私達は退散するから、あとはあなた達だけでどうぞ?」



「あー、まあー、そういう事だ!すまなかったな!」


2人ともがはは、ふふふ、と笑いながら部屋から出ていった。








「…………なんだったんだろうな………。」


「……分かんない。でも、」



天火くんを見る。

ああ、ようやくあなたを


「よかった。」


手に入れる事が出来る。私に縛る事が出来る。



「俺も、だよ。」



そう言った途端、天火くんは力強く抱き締めてきた。
それでもまだ思いやられていると分かる強さで。


「…長かった。ようやくお前を抱き締められる。」



「私だって…!」


私だって、抱き締めたかった。



「お、おまっ…!!」


天火くんの顔に朱が浮かぶ。

その顔をもっと見ようと背伸びした瞬間





「んっ!」



口づけられた。

最初はただただ優しく、でもどんどん舌を絡めるような深いものに。



「ふっ……、ん、」

呼吸まで、吸いとられてしまうような、
まるで、ここにいることを確かめているような。



「…好きだ。名前の事が好きだよ。」



口づけの合間に囁かれた言葉に今以上に頭が混乱する。
私も、と返事をしたいのに。
それを遮るかのようにまた深いキスをされる。




ようやくキスが終わった時、自分では立っている事すら出来なかった。
天火くんに支えてもらってようやく立っていられる。

呼吸を整えながら、




「わ、たしも…、天火くんの事が、す、好きだよ…。」








ああ、幼い頃の約束が、今ようやく叶った。


2人で目をあわせて、くすりと微笑みあった。









───────────────────



と、とりあえず終わった…


なんかもう思いつきが書き始めたので、
ここまでくるのが大変でした。


相変わらず最後が雑で申し訳ないです。



ここまで読んでくれてありがとうございますっ!

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