「約束だ」


※現パロ!悲恋風。






「約束だ。」




君はそう言ったよね?



もう、その「約束」は、果たしてくれないのかなあ。











「名前ー!今日午後暇だったら一緒にショッピングしましょう!」



「いいよー。今日の講義は今からので終わりだし。久しぶりだね!」



大学で知り合った友達とショッピングに行く"約束"。




「………名前?」


「あ、ううん。なんでもないよ?」






□ ■ □



「ふぅー、寒…っ。」



冬のビル風はとても寒い。

今日は比較的暖かいと思ってたけど、
やっぱり夜は冷える。




「約束、か…」



その言葉を思い出すだけで一気に昔に引き戻される。

「………天火、くん。」




幼い頃、彼とした"約束"。





「会いたい、よ、会いたい、」








『………大きくなったら、絶対、迎えに行くから。だから、待ってて。』








「……ひっ、く。」


ああ、もう。








『悪ぃ。もうあの約束は、果たせない。』








「………きっついなあ……。」


半年前、天火くんから突然届いた葉書。
正直、全然意味が分からなかった。
どういう事?なんで?どうして?
衝動に駆られて天火くんのところに行こうとして気づいた。

私、天火くんの事、何も知らない。


どういう意味なのか、確かめる事すら出来ない。


半年間、ずっと胸が苦しい。




「あ、いたい、よ。」









□ ■ □






「なあ、兄貴…。なんで、名前さんに、あんな葉書…。」



「………。」



空丸に問われているけれど、その口調は、どこか責めているようにも聞こえる。




「兄貴!」



「……悪ぃ空丸。俺少し出てくる。」



「兄貴!」










「それで、空丸との空気に堪えきれなくてここに来た、と?」



「…………。」



なんかデジャブだ。


「全く…、お前というやつは…。」



「…お前は、責めないのか?俺の事。」




意外だった。蒼世は責めると思ってた。空丸以上に。





「………別に責める云々はいい。そんなお前の顔を見ていれば大体は察しがつく。」




「ははっ、これでも頑張って表情作ってるんだぜ。」


「……名前との約束を破ったのは、名前自身のためなんだろう?」







「……あいつの、両親に、直々に言われたんだよ。もう、娘を縛るな、ってな。」



「!」



「あいつの両親が俺を不快に思ってたのはずっと知ってた。でも、何も言ってこねえから、…少し、安心してたんだよ。」



「あいつは約束を破るやつじゃねーと思ってたし、俺だって叶えるための努力を怠らなかったからな。」



「…でも、いるんだよ。この世界には、どうやっても交われない人達が。」





「………空丸達の命と引き換えに、娘から手を引け、って。」




「な……っ!!?」



さすがにこの展開には蒼世も目を剥いた。


そりゃあ、そうだよな。
俺だって驚いたんだから。



「………俺にとって、唯一の家族なんだ。それを知って、そう言ったんだよ。」



「『あの子は将来、私達の会社を率いていくんだ、そのためならなんでもする。たとえ、彼女が傷ついて心が死んでも。』


だとよ。」




なにも言えなかった。その言葉を聞いても、なにも。
言わなきゃいけなかったのに。






「……あいつはなにも知らないのか?」


「そりゃあ知らねえだろ。俺も言ってねえしな。」




「……そう、か。」











□ ■ □






約束を果たしてほしかった。

私をこの籠から出してほしかった。

ここにいたら心が死んでしまうのに。






あなたがいないと、私は呼吸すら出来ないのに。










「約束だ」
(果たされる事はない。果たしてはいけない)




____________________





え、これって悲恋なの?
とか思っても言わない方向でお願いします。

現パロとか言ってるわりに内容がぶっ飛んでるよ…!!

ちょっと悲しめなお話が書きたくなっただけですすいません。




お題提供先:蝶の籠

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -