ねえ、
※現パロ
「さむっ……。」
吐き出された言葉と吐息は冬の空に白く消えた。
「あ、雨…。」
確か折り畳み傘は置いてきた。
最悪だな。
仕方ないし、走って帰ろう。
生憎、まだ雨は小降りだ。
これなら大丈夫だろう、と思い走りだそうとした時に、腕をがっしりと捕まれた。
「傘、持ってねーの?お前」
それが、天火との出会い。
□ ■ □
「うわっ…雨かよ…」
空丸に折り畳み傘叩きつけられたけど、ちゃんと持ってきてよかった。
そんな時だった。
彼女を見かけたのは。
最初の印象は、ただただ儚い、と思った。
この雨と一緒に、消えてしまうように、見えたのだ。
腕を掴んでしまったのは、無意識。
「傘、持ってねーの?お前」
「え、あ、はい…。忘れて、しまって…」
「なら、この傘、使っていいから。ほれ!」
無理矢理傘を持たせると、彼女はようやく事態を理解したのか、慌て出した。
「え、でも!見ず知らずの方に悪いです!それに私、ここの近くですし、走って帰れば大丈夫です!」
「あー、俺もここの近くなんだ。俺だって走れば大丈夫だぞ?」
意地が悪い言い方しちまったけど、
「お前は女だろ?あんまりからだとか冷やしたらダメだ!」
そう言ったらぽかん、と口を開けて、
「っぷ!あっ、はははは!」
大笑いした。
「初めて会った人にそんな事言われたの、初めて!あなた、すごい変わってる!」
ひゅーひゅー、と過呼吸になりながら必死にその言葉を俺に伝えてくる彼女。
「そうか?普通じゃね?つか笑いすぎだからね!」
「あ、ご、ごめんなさ、っふふ!」
「ったくー。ま、ほれ。」
彼女に傘を無理矢理持たせて雨の中に出ようとした。
したんだが。
「あ、あのっ!名前!名前教えてください!」
「……雲天火!」
「天火、さん。傘、ありがとうございます!絶対、絶対明日返します!明日、今日と同じ時間にここで会えますか!」
彼女との距離は、少しずつ離れていったけど、声はとてもよく聞こえたのだ。
「ああ、会えるよ。また、明日な。」
そう言った時の彼女の笑顔は、多分、一生、忘れない。
□ ■ □
「何ぼーっとしてるの?天火」
「ん、あぁ、名前か。いや、ちょっと出会った時の事、思い出した。」
「あぁー。あの時ねぇ…。」
そう言ってくすくす笑う名前。
「あのね、少し聞いて?あの時、傘を差し出してくれたのが天火でよかったよ?
私、あの時、何もかも嫌になってた。
でも天火と出会って、嫌な事、忘れられたの。
私の心に傘をさしてくれて、ありがとう、天火。」
「…………っ!あんま可愛い事言ってると襲うぞ!」
「え?何言って……っひゃあ!ど、どこ触ってるの?!」
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なんだかよく分からなくなりました!
完全に迷子ですね!
しかも天火が盛ってますね!
またしても文末雑ですいません!