小説 | ナノ






「おう、お帰り白子。」



「ただいま。」



「どうだった?」



「今のところ、動きはないみたいだ。」



「………そうか。」



「空丸達は?」



「とっくに寝たぜ。今日は濃かったから疲れたんだろうよ。明日、一応診療所に行かせるが。」



「空丸、あの事思い出したのか?」



「いや、首しめられた事で断片的に蘇ったんだろ。出来ればこのまま忘れててくれよ。っと、悪いな、毎回厄介な事ばかり頼んで。」



「こんな事しか出来ないけどな。俺に出来る事ならどんどん使ってくれ。」



「阿呆か!使ってんじゃねぇ。頼ってんだ。」









□ ■ □









「うーん……。よく寝たなぁ。」





昨日は割りとハードでご飯食べてすぐ寝ちゃったんだよね。





「もう白子さん起きてるよね。」





朝ご飯の仕度しよう。
そう思い勝手口に向かったが、いつもある後ろ姿が今日はまだ見当たらなかった。

白子さんがまだ起きてこないなんて、珍しいこともあるもんだなぁ、と呑気に朝ご飯を作っていると空丸くんに声を掛けられた。





「おはよう名前……。」



「あ、おはよう空丸く……ん……?」



「?なんかついてるか?」



「う、うん。ついてるってゆーか、書いてあるってゆーか。」





この言葉で何か分かったらしく空丸くんは血相を変えてドタドタと寝室へと戻っていった。

すぐそのあと天火と空丸くんが何かを言い争ってる声が聞こえてきてゆっくりと歩いて向かった。

出来れば少しでも事態が収束していますように。


襖を開けるとなんともカオスな状態が広がっていて少し引いた。





「みんな朝から何してるの……。」





自分の呟きは誰に聞かれることもなく空気に溶けた。



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