小説 | ナノ






「信じらねえあのクソ兄貴!」
「……また長男が何かやりおったのか?」
「一晩中酒に浸かってやがった!」
「まあまあ空丸くん。少し落ち着いて。」
「うっ……、名前はいっつも兄貴に甘いよな。」


ジト、と見られる。
えぇ、そんなつもりはぜんっぜんないんだけどなぁ……。


「おい、その首のやつはどうするかの?」
「…いや…、首周り触られるの苦手なんでいいです。」
「……空丸くん、顔色悪いし、早く神社に戻って休もっか。」
「ふむ、それが一番じゃな。」
「ああ、そうだな。」
「ほーら、宙太郎くん!空丸くんの首触ろうとしないのー。」
「はぁーい、分かったっス……。」
「!……名前、ありがとう。」
「ううん、これぐらいお安い御用ですよ。……それじゃあ、天火が来たらよろしくお願いしますね、先生!」


□ ■ □


「へーい先生。今あの三人見かけたけどもう終わったのか?」
「まあな。……どうじゃ、その後は?」
「ああ、こんな傷より二日酔いの方がひどくてよー。」
「そっちじゃないわ!!分かっておるじゃろう天火。」


□ ■ □


「おお!曇天の次男坊に三男坊、名前ちゃんじゃないか。」
「あ、空丸くんたち。これ、持って行き!」
「危ない仕事やけど頑張ってな。」
「応援しとるでー!」


「ほんと、呆れるくらいみんなは人気者だねぇ。」
「そんなことねぇよ。それにんなこと言ったら名前だって。なあ、宙太郎?」
「そーっスよ!名前姉さんも人気者っス!」
「あはは!ありがとう、お世辞でも嬉しい!」


((あ、この人すげー鈍感))


(空丸くんと宙太郎くんがすごい呆れたような目をしている気がするけど、気のせいだよね……?)


三人でぶらぶらと神社に向かって歩いている途中。
改めて曇のみんなは手の届かないような人達だなぁ、と思い胸がチクリ、と痛んだ気がした。



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