「なんすか名前姉さん?」
「………どうして、あの仕事をしてるのなって思ってね。」
「え?」
質問の意味が分からない、という風に首を傾げる宙太郎くん。
「私には、分からないの。どうして曇のみんなが命がけであんなに危ない仕事をする事が。」
まあ辞めてほしいと、願う事は
「ただの、私のエゴだけどね。」
自嘲するような笑みがこぼれた。
下らない、下らない。
少し一緒に生活したからって境界線は、越えてはならないのだ。
私は、ずっとここにいれるのかも、分からないのに。
「…………天兄は、おれの誇りなんす。」
「え?」
ぽつり、と宙太郎くんが言った。
「だから、天兄が守りたいって思ったものは守りたいし、やるって決めたならおれは力になりたいんス。」
天兄はおれたちに頼ってくれないんスけどね。
そう言って少し寂しげに笑う宙太郎くん。
「…………そっかあ。」
こんなに小さいのに、ちゃんと覚悟をしているんだね。
「かっこいい、ね。」
ほんと、曇のみんなはかっこいい。
「えへへ……、名前姉さんに言われると照れるっス。」
少し頬を染めて笑う宙太郎くん。
二人でほのぼのとしていたら、
「まだ逃げた罪人がいる!?」
空丸くんの大きな声が聞こえてきた。
宙太郎くんは空丸くんの声を聞いてすぐに部屋を飛び出していった。
……………さて。
(ここの神社に竹刀はあるのかな?)
あるよね?ないとかないよね?
と思ったが案外早く見つかった。
その竹刀を持って玄関に行くと、
「止めんで下さいよ。俺等だって曇の男だ。」
二人が出て行ったところだった。
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