「お前がここよりも帰りたいって思える場所を見つけたら、その時はここを出ていけばいい。誰もお前を責めねーよ。」
「………っはい!」
ああ、なんていい人なんだろう。
この人と話していると、心がすごく温かくなって、ふわふわする。
胸がきゅーっと、締めつけられる。
でも、嫌な痛みではないから、不思議。
「そうそう、お前はそーやって笑ってろ!名前は笑顔の方が似合うんだからよ!」
そう言って彼は私の大好きな笑顔で笑う。
不意に、彼の未来が頭を過った。
私は、彼らがどうなるのかを知っている、この世界において、イレギュラーな存在。
イレギュラーだからこそ、彼らがいつでも笑っていられるように、
彼らが、傷つかないように。
未来を変えてみせる。
たとえ、それがどれだけ周りの人を傷つけたとしても。
□ ■ □
「おい、大丈夫か!?」
「くそっ、逃げられた……っ!」
彼女の決意を嘲笑うかの如く、運命は動き始める。
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