小説 | ナノ




「帰りたい、ってお前が思っていたのは薄々気づいてた。お前時々遠くを見るような目をしてたからな。」



………驚いた。
自分でも気づいたのは少し前の事なのに、この人は私よりも早く私の感情に気づいていたなんて。



「そんなに驚くなよ。空丸と宙太郎は気づいてねーと思うけど多分白子は気づいてたと思うぞ?」



「………私って、そんなに顔に出てましたか?」



「いや、だからそこまで出てねーよ。あいつらは気づいてねーしな。」



天火は普通に言ってるけど、私すごい失礼な事、天火に言わせてる。



家族、って認めてくれてるのに、迷ってるなんて。





「私、ダメダメですね。」








「………なんで、そう思うんだ?」


すごく、優しい、私を気遣ってくれてると分かるような声音で聞いてくれる。

だからか、すんなりと言葉が落ちた。




「みんなは、ここにいる事を認めてくれているのに、私が迷ってるなんて、みんなに失礼ですよね。」



「そんな事、誰も気にしてねーよ!」


元気な声で告げられ、頭に何かがのる感触。

そしてそのまま、少し雑に撫でられる。




「俺たちはんな事気にしてねーから。だから、お前もそんなに気にすんな。」


お前が気にしたところで、今はどーにもならねーだろ?






言葉がすとんと、胸に落ちた。



心が軽くなって、息がしやすくなる。



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テーマ「人外ファンタジー」
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