「帰りたい、ってお前が思っていたのは薄々気づいてた。お前時々遠くを見るような目をしてたからな。」
………驚いた。
自分でも気づいたのは少し前の事なのに、この人は私よりも早く私の感情に気づいていたなんて。
「そんなに驚くなよ。空丸と宙太郎は気づいてねーと思うけど多分白子は気づいてたと思うぞ?」
「………私って、そんなに顔に出てましたか?」
「いや、だからそこまで出てねーよ。あいつらは気づいてねーしな。」
天火は普通に言ってるけど、私すごい失礼な事、天火に言わせてる。
家族、って認めてくれてるのに、迷ってるなんて。
「私、ダメダメですね。」
「………なんで、そう思うんだ?」
すごく、優しい、私を気遣ってくれてると分かるような声音で聞いてくれる。
だからか、すんなりと言葉が落ちた。
「みんなは、ここにいる事を認めてくれているのに、私が迷ってるなんて、みんなに失礼ですよね。」
「そんな事、誰も気にしてねーよ!」
元気な声で告げられ、頭に何かがのる感触。
そしてそのまま、少し雑に撫でられる。
「俺たちはんな事気にしてねーから。だから、お前もそんなに気にすんな。」
お前が気にしたところで、今はどーにもならねーだろ?
言葉がすとんと、胸に落ちた。
心が軽くなって、息がしやすくなる。
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