「う、え、あ、っと。」
「え、おい、なんだよ。日本語話してくれよ、せめて。」
顔に笑みを浮かべながらそう言う天火さん。
「ほ、ほんとにっ、呼び捨てで、呼んでも、いいんですか…。」
どんどん語尾が小さくなって、聞こえなかったかもしれない。
それでも天火さんは薄く笑いながら頷いてくれた。
「ああ!だってその方がすぐにお前と打ち解けれそうだからな!」
ここで、私が天火さんの言葉に頷いてしまったら。
私は、もう、戻れないかもしれない。
私がいた、在るべき場所に。
それでも。
この手を、この声を、この言葉を、
信じて、生きたいと、願ってしまった。
ああ、
さようなら、世界
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