「信じられない！」
「…お疲れ、唯」
「ほんっと疲れた！もうなんなのよお母さんってば！」


扉をひどく乱暴に開けた唯。
これは予想通り、


「母さんと揉めた？」
「ええ、すごく揉めたわ！だってお母さんってば栗山未来と関わるな、って言うんだよ！？」


そう言うとぎゅっ、と自分の手を握りしめた唯。


「…桜と、同い年、なんだよ」
「！そうなの？」
「うん…、お母さんが先刻言ってた」


微かに震えている唯の手をとる。


「ねえ唯、」
「…どうしたの？香織」
「私は、何も聞いてない」
「え…？」


どういうこと、という風に首を傾げる唯。


「私は母さんから何も聞いてない。だから、」


私はあの子と、栗山未来と、友達になるよ


「…くっ、あはは！」


ようやく身体の力が抜けたみたいに、いつもの唯のように笑った。


「…笑い過ぎだってば唯！！」
「ふっ、ご、ごめん…！」
「もぉー！」
「ごめんってば香織。…私も、頑張るね」
「…うん、二人で頑張ろっか」


栗山未来は多分いい子だと思う。
でもまだ其れが分かるまであの子と接していない。
だからまだ桜と会わせるのは止めておこう、これが私達が出した結論だった。









「未来ちゃーん、入ってもいいー？」
「は、はい。どうぞ」
「「ありがとう」」
「……！？」


あ、未来ちゃんすごいびっくりしてる。


「あ、あの」
「初めまして、栗山未来ちゃん。私は伊波唯、よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
「唯はね、私の双子の姉なの」
「えっ！？香織さんのお姉ちゃんなんですか！？」
「…ねぇ香織、なんで未来ちゃんあんたの名前知ってるの？」
「うーん、昨日来たからじゃない？」
「…は？」
「あ、やべ、」


唯の後ろに黒いオーラが見える。
やばい？
やばいやつ？
未来ちゃんの顔がすごい引きつってるから、ちゃんと唯を止めないと。


「あのねえ香織！！！」
「あー、ごめん！話は後で聞くから。今は、ね？」


チラ、と未来ちゃんを見ると意図が分かったみたいで渋々、という風に引き下がってくれた。


「あの…、お二人は、どうしてここに…」
「ちっ、まあいいわ」
「え、ねえ唯ちゃん？今舌打ちしたよね？理不尽ですよ？」
「あのね未来ちゃん、「無視！？」…私、貴方と友達になりたくて、此処に来たの」