「取り敢えず、さっきは母がごめんね?」
そう謝ると栗山未来は驚いたように目を瞬かせた。
「?如何してそんなに驚くの?」
「…謝られたの、初めて」
そう言った彼女の顔はとても困惑していた。
「あ、自己紹介がまだだったね。私は伊波香織、よろしくね」
そう言って手を差し出すとキョトン、とした顔をしていた。
…可愛い…!!
「あ、あの、この手は…」
「握手だよ?此れからよろしくねーって」
「握手…?」
「握手知らないの?」
そう尋ねるとコクリ、と頷く彼女。
「こーやって右手を前に出して、それで」
私が栗山未来の右手を包み込むように両手で握った。
瞬間、
「っな!離して、離してよ!」
「うわっ!?ちょっと、如何したの!?」
慌てて手を離して彼女の顔を見るとその顔は苦しそうに歪められていた。
「貴女おかしいんじゃないんですか!?私は呪われているのに、如何して優しくするの!?あなただってどうせ私のこと、気味が悪いって思ってるんでしょう!?私のこと切り捨てるんでしょう!?だったらこんな優しさなんていらない!!放っておいてよ…っ!!」
ボロボロと涙を流しながら私を睨みつける栗山未来。
この子は、
「同情なんてしてないよ」
私に似てるんだ。
「私がただ仲良くしたいの。それもダメなの?」
「っ…!」
ゆっくりと手を握る。
今度は、振りはらわれなかった。
未来side
おかしな人だと思った。
私と仲良くしたいだなんて。
それでも、私の手を握ってくれたあの人の手は。
とても、温かった。
運命とか、簡単には信じないけど。
この人の手は信じられる、そんな気がした。
未来side end