花 | ナノ


▼ いつだって貫き通す

下駄箱の近くではあるがあまり人気の無い所に来た天野達
放課後という事もありそう遠くない所から生徒達の声が聞こえていた

「あたし こういうの心当たりあるんだけど」

「大丈夫だって」
「そうそう」
「安心して!」

少女達は話すが天野が不機嫌そうな顔で見ると怯えた顔をした
だが先程の少女は不敵に笑っていた

「心当たりの人物達を覚えているなら安心した 私達あいつらが気に入らないのよ 調子に乗ってるから」

「だから何?」

「天野さんはあいつらからあの動物の死骸の事件以降怖がられてるでしょ? だから私達のグループに入ってくれればあいつらを上手くクラスから省けるってワケ」

「下らない」

帰ろうとする天野の手を掴む少女
案外強い力なのか天野は進めず振り返った 掴んだ少女は笑ってはいなかった

睨み合っていると別の少女達が話す

「天野さん最近優しい印象になってきたし友達に…なりたいって言いたいんだよ 私達」
「それにあの人達怖いし 私達も前からあの人達が天野さんにしていたこと許せないって思ってたから」

「…」

そして手を掴んで離そうとしない少女は言う

「あいつらを…皆で見返そうよ ね?天野さん」

─‥

話し合いが終わり倉持と御幸の2人は歩いていた

「ったく 天野の奴 何処だよ」

「お礼言うの明日じゃダメなのかよ」

「そりゃ明日より今日の方がいいだろ …もしかして帰ったのか?」

倉持が天野の居場所を考えているとワイシャツの襟を後ろから掴まれて引っ張られた きっちりとした制服のせいで首が絞まり倉持は御幸の頭を叩く

「ざけんな!」

「…声が聞こえる」

「あ? 何言ってんだ」

「そらが…」

御幸の様子に倉持は心配になり耳を澄ました 下駄箱の近くで少々雑音も混じりはするがたしかに話し声が聞こえてきた



「うっせーよっ ただ見てるだけだった奴等が何言ってんだ!」

近づくと複数の少女と天野が口論しているように倉持は見えた
止めようと動こうとするとそれを御幸は止め 倉持とともに物陰に隠れた

「何すんだよ」
「前から言おうと思ってたけどお前はそらを守ろうとし過ぎだ あいつは大丈夫だ」

御幸の意図が読めないではいたが真剣な御幸に倉持はとりあえず天野達の口論を聞く

「頭にくる お前等みたいな糞共見てると 悪いと思っても何も言おうとしない第三者! 平気な顔で人を利用しようと考えてる馬鹿女! 最悪なのはツレが全員自分と同じ思考でいると思い込んでること!! グループ作らなきゃ友達がそばにいなきゃ生きていけないようなやつらのくせに
もう二度とあたしに話しかけようとするな っていうか死ね」

「「「「…」」」」

炸裂した天野の毒舌に静まり返る 追い討ちをかけるように手を離せと思い切り睨み付けた

「「…(容赦ねーな おい)」」

手を離すと1人が泣き出し それに続いて全員走って帰っていった

倉持と御幸もその場を去る

「天野の奴…全然変わらないな ヤバすぎだろ 正論かもしれないけど言い方に問題があるにしてもほどがあるだろ」

「だな でも…そらのこういうところが好きなんだろ?」

倉持が反論しようと御幸を見ると笑みを浮かべていた

「"周りに何言われようが自分のやりたいことだけは貫いている 真っ直ぐなところ"が ものすごく分かりずれーけど」

一瞬呆けた倉持は顔を真っ赤にした



「てめぇ それ俺が天野に告った時に言ったヤツじゃねーか! 何で覚えてんだよ!!」

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