花 | ナノ


▼ いつだって許せないから

倉持は御幸が帰って来たあの日以降極力御幸に近づく事はなくなった

天野はそれを珍しくも心配しているような素振りをしている

御幸はその事について何も言わない



屋上で御幸と天野は話していた もちろん倉持はいない

「…なんで何も言わないの 倉持に」

「俺に何かを言う資格なんてないからな」

「…」

「分かるだろ? 倉持はそらのことをすごく大切に思ってることくらい だから俺の起こしたこと許す事なんて出来ないんだ」

その時天野が思い出したのは本気で怒った倉持だった


"お前…忘れたのかよ あんな酷い事されて 傷つけられて… それでもアイツを庇うのかよ!? あんなくそったれを!!!"

(…くそったれはないでしょ せめて糞)


「でもお前は俺を責めることはしないだろ?」

天野は頷いた それを見た御幸は溜め息をつく

「本当はアイツ 俺なんて帰ってこなければよかったって絶対思ってる 俺の顔を見る度に殴りたくなるのをお前がそれを望まないからって理由だけで抑えているんだ」

その言葉に対し天野は何も言わない 呆れるわけでもなく馬鹿にするわけでもなく ただ考えているそんな様子だ

御幸は続けた

「それだけ愛されているんだよ お前は」

倉持の行動にモヤモヤした気持ちをずっと抱えていた天野

だが 御幸の言葉により倉持の行動を理解する

倉持は御幸を見れば頭に血が上るくらいの怒りを御幸を避けることにより抑えているのだ
大切な天野のために

そして天野は顔を赤くして俯いた
「何が愛されてるよ 馬鹿みたい …変な事言わないで」



.......いいよな

「? なんか言った?? 一也」

「なんでもねーよ 珍しいお前の赤い顔見れたし俺もう教室 帰る」

「!! ふざけんなっ この腐れ眼鏡!!」

「はっはっはっ」


後ろで毒づく天野を振り替えることなく御幸は屋上を出ていった



(俺も倉持みたいに… そらをもっと堂々と愛せたらよかったのにな)

切ない表情で自分が今出てきた扉を見つめる御幸であった

prev / next

[ index/ bkm ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -