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▼ いつだって悪魔のように

いつの間にか雨は止んでいて青空が見えていた

授業が終わり様々な生徒が帰りじたくをし会話をし部活動にいく者や遊びにいく者がいるに中で天野は倉持に話しかけられていた

「待っててくれるか 練習が終わるまで」

「…」

何も言わずその場を立ち去った



(やっぱ 面と向かってじゃまだダメか…)

練習の中倉持はふとそう思った

ドスッ「いっ!」

「注意力散漫 何考えてんの?」

「亮さん…」

突然の事に目を丸くする倉持 そして意を決したように

「あのっ なんで俺達を掻き乱すようなことを言ったんスか? 天野だって辛い思いとかして…」

「このままじゃダメだからだろ」

「え?」

小湊は倉持に目をあわせようとすることなく言った

真剣に


「言っただろ 野球部のため そして御幸のためだって

天野が辛い? だったら辛い思いをしたその根本の問題を解決することに努力しろよ」

「…」

「しっかりしろ 彼氏」


人を好きになってもただ一緒にいて好きと言えばいいわけではない

好きな人の心に寄り添うこと

それが人を好きだと思うことの最高の結果

(そんな根本を解決とか…考えたこともなかったな 亮さんはやっぱすげぇ)

「それに」

「?」

「辛い思いしたのは天野だけじゃないから きっかけ作ったんだからしっかり天野と仲直りもして 御幸も連れ戻して調子戻せ」

「え…俺がっスか!?」

「ここ最近ミスしまくりなお前のためにやったことだったんだけど(やっぱり 気づいてなかったんだ)」

「え!?」


練習後─‥

(今日はホントに驚いてばかりだ…それだけ俺もいっぱいいっぱいだったってことか…?)

「倉持先輩!!」

大きな声の方を見るとそこには後輩の沢村がいた

「うるせぇ! なんだよ」

「天野さん来てますけど行かないんですか?」

「天野が? 何処に!?」

「あっちです」

沢村の指差す方には天野がたしかにそこにいた

その場所は以前待ってくれていた場所と同じだった

(アイツ…)

急いで走っていくと天野は何食わぬ顔で座っている

「先に帰ったんじゃ…」

「そんなこと一言も言ってない」

そっかと倉持は呟き内心は喜んでいると
そんなことなど見透かしたように天野は鼻で笑ったがそれすら気づきもしない様子にやがて微かに笑みをこぼした…



「倉持…ごめん あたし あんたを傷つけた」

「お前が謝ることなんて何一つねーよ」

「でも!」

「俺が悪い 感情にまかせて言った 俺が悪いんだ」

ボソッ「そんなの…あたしだって同じじゃない」

その小さな声に倉持は切なくなり顔を歪め 座っている天野の頭を少し遠慮がちになりながらも撫でた

(こんなことで素直になられたって全然嬉しくねーんだよ…バカ)

そっと手を離そうとすると天野がその手を逃がさぬように掴んだ

(…!?)

「あたしやっぱ口悪いからさ その分人を傷つけることも多いの

でも 倉持の周りにはそんなあたしを許してくれるバカが多いね」

「…なら よかった」

照れたように言う倉持に天野は微笑んだ









「でも それは一也も同じだったはず そんなバカが一也の周りにもいたってこと

あたし一也を探した でも見つからなかった どこにもいないの 一也はどこにもいない…」

掴んだ手を握る力が強くなり その手は震えているのを倉持は感じていた

「でも 心当たりのあるところはまだ一つ残ってる

それで

倉持…もし一也が帰ってきたら… 」









天野はそれを言うとまた微笑み

倉持の手に飴を握らせ去っていった


倉持は天野の言葉を頭の中で何回も繰り返し 飴玉を握りつぶし

悪魔のように笑った

















“殴ってやって あたしと倉持の今までよくもやってくれたなって感じの気持ちを込めて…

その時の暴力だけはあたしが許す!

一也の頭かち割る勢いでや(殺)れよ”

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