花 | ナノ


▼ いつだって知っていた

(でも本当は分かってるのくそったれは一也でも倉持でもない

あたしだってことくらいあたしは分かってる)




屋上に取り残された倉持は天野の走っていった扉の方向をずっと見ていた

「何やってんだ俺は 頭冷やせよ…っ」

そう言うと扉を蹴破った

「八つ当たりで扉破壊するつもり?」

「!!!」

そこにいたのは小湊だった

「え…亮さんずっとここに居たんですか? まさか話し聞いてました??」

「たまたまお前ら見かけた ただそれだけ でも話しは雨で聞こえなかったよ」

「…」

「さっきの天野と今のお前を見る限りあまりいい内容じゃなかったみたいだね」ニコッ

「…はい そうです(この人は何でもお見通しか…)」

倉持と小湊はその場に座り込むと話しを始めた

小湊は倉持を見ると
「何でずっとあそこにいたの?」

「頭冷やそうと思って…」

「馬鹿? 風邪引くよ 着替えてきなよ」

「はい…」

小湊に言われた通りに寮に着替えに戻った
ワイシャツはたっぷり水分を含んで重くなっていた

(こっちは別の着ればどうにかなるな… タオル…)

タオルを手に取りズボンをふき 髪もふき始めた

(あ…天野はどうしたんだろ)

一抹の不安を感じ 携帯を手に取るとそこにはメールが一件きていた

小湊から

まだ?

「え!?」



慌ててさっきの所に戻り謝ると別にいいけどと言う小湊に少しだけ安心した

「俺の言ったことが原因で喧嘩したの?」

「発端は…確かにそれです でもアイツ御幸を庇うから…」

「それで 倉持が怒ったんだ」

「そうです でも…ホントは喧嘩なんてしなくて済んだんです」

倉持は静かに目を閉じ 溜め息をついた

「…」

「俺は全部知っていたから…

天野は口では絶対に言わないヤツだけど御幸に昔から感謝してること

天野が御幸っていう存在をを大切に思ってることくらい

知っていた…

知ってたはずだ もうそんなこと知ってたはずなのに…俺は」

「感情にまかせて御幸を罵倒した」

「…そうです」

倉持は自嘲したように薄く笑うと

「だからってその場にいないヤツに何言ったって通うじやしねーのに 馬鹿ですよね 結局俺はアイツと同じで泣かせた」

それを聞いた小湊は溜め息をつき

ドスッ「いっ!」

頭にチョップをした

「落ち込む暇あったら 謝れば?」

「謝ればって…そんな簡単に言わないで下さいよ!」

「倉持は高校生にもなって謝ることもできないんだ」

「な…! んなわけないですよ!!」

「じゃあ さっさと行きなよ」

「…! ありがとうございましたっ」







(確かに今俺にできることは謝ること 亮さんはそれを教えてくれた…)

倉持は天野の元に走っていった




残された小湊は
「世話のかかるヤツ…」
と毒づいた




prev / next

[ index/ bkm ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -