花 | ナノ


▼ いつだってあの時を

屋上は今にも雨が降りだしそうな空の下というのにも関わらず

天野は居た

小湊に言われた事がどうしても頭から離れないでいたのだ

(…)

ガチャン「天野 雨降るぞ 中は入れよ」

倉持は振り返らない天野の返事を待つ

「…」

「亮さんに言われたことあんまり気にするなよ」



天野は振り返らないまま






「それどういう意味?」

「どういう意味って… そりゃ御幸の事をあんまり思い出したくないだろうし」

「そんなわけないじゃない 一也のこと忘れたいとか思ったことなんてない」

「お前… あんなひでー事されたのに…」

雨が降りだし

それでも2人は動こうとはしなかった

天野は金網を強く握り


「あれは…あたしのせいだから」

「…!!」

その言葉で
その苦しげな表情が倉持は見なくても分かり

一瞬にして頭に血が上った

「お前…忘れたのかよ あんな酷い事されて 傷つけられて… それでもアイツを庇うのかよ!?

あんなくそったれを!!!」

暴言は御幸に対するもので でもそれは天野を怒らせるには十分だった

「!! くそったれはあんただ! 倉持に一也を悪く言う資格なんてない!」

「そうかも知れねーけど…でも俺は…っ」

「…」

続く言葉を聞くことはなく

天野は倉持を雨の中1人残し




走ってその場を去った





残された倉持はただ空を見上げる



頬を伝うものが雨だと倉持は頑なに信じた




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