花 | ナノ


▼ いつだってsmile

教室で頭を下げる倉持がいた
回りの視線を気にしないその様は余計に天野を苛立たせる

「天野お願いだから毒舌だけは止めてくれ!」

「分かってる 喋らなきゃいいんでしょ」

「小湊亮介さんだからな 名前は 敬語がダメでもせめて“さん”付けしてくれよ」

「分かってるって言ってんだろ少しは黙れ」

その様子を見た周りは

「相変わらずこえー」
「あんなひねくれもんのどこがいいんだか」

と騒いでいた



練習後─‥

「お疲れ」

練習を見る者がほとんど帰る中天野は1人立っていた

渡されたペットボトルに倉持は安堵の表情を浮かべた

(よかった来てくれて)
「家に一旦帰らなかったのか?」

「べつに やることもないから」

「そっか(いつも勉強してるくせに嘘つきやがって)

じゃあお前 ここで待ってろ」

「寮に行くんじゃないんだ」

「寮生じゃない奴が入るのはまずいだろ」

「ふーん」

急いで着替えに寮に走っていった

(暇になっちゃったな…)

人の気配を感じ振り向くとそこには小湊がいた

「君が天野?」

「そうだけど何? 誰?」

「小湊亮介 倉持を応援に来るくらいだから知ってると思ったけど」

「知るわけない 自惚れ過ぎ」

「…倉持の彼女だよね 君」

どこか黒いオーラが出ている小湊に対し全く動じない天野

そして誰もが
「「「「(すげぇ…)」」」」
と思っていた

だが1人だけ呆けている柄の悪い髭のはえた人物がいた

(だ…誰だあれ メチャクチャ可愛い…)

「純 何やってるの?」

「え… 誰だよ そいつ」

他人事のように見ていた天野は小湊に

「その人も先輩?」

「うん 伊佐敷純」

「どうも」

「…ど どうも」

伊佐敷は小湊を引っ張り小声でたずねた

「誰だよ あれ」

「彼女」

「!!! お前のか!?」

そこに現れた倉持

「ごめん 天野 後輩の相手してたら遅れた 亮さん達何やって…」

バ!!! カヤ…ロウ…」

「?」「あ…」「クスッ」

それぞれがそれぞれの反応をする

鈍感なもの 察するもの 嘲るもの


「何?」

なんでもねーよ…

「純さん あのー」

「うるせぇ! バカヤロォ!!!!!」


「純 倉持の彼女だよ」ニコッ

「…うるせぇよ」




若干一名多いが面子が揃い

小湊は話しを始めようと笑みを浮かべた




「天野 御幸の居場所は知ってる?」

「亮さん!」

焦る倉持を小湊は張り付けたような笑顔で制した


「…」

「知ってるか知らないだけでもいいから教えてよ 俺達にとってアイツは必要だし アイツにとって野球は必要だと思うから…

教えてよ」













「あたしは… 知らない」


天野は静かにその場を去った

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