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▼ いつだって空席

事件から御幸は2人の前に姿を現すことはなくなった。

嫌われ者の少女天野そら。その少女に向けた好意は御幸は愛憎。その少女に向けた好意は倉持は純愛。
御幸は失踪し、倉持は天野と付き合い始めていた。

対極に見えるようでどこか似ているような、そんな想いはどちらか一方が想いを断ち切る他になかったのだろうか。
煮え切らない思いを誰しも抱え、それでも時は過ぎてゆく。

─‥
「(…付き合ってるっつっても、天野の奴は相変わらずだし。御幸はどっか行っちまったし。)」

授業中、倉持は集中もできず、ただ窓の外を眺めていた。 1つの空席を見る度に溜め息が出るからだ。

「(…馬鹿野郎)」

その言葉を今そこにはいない人物に対して、倉持は言いたかった。たが、その口から発せられる事はなく、倉持の中へ沈むのだ。

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