お気に入りの曲を聞き
鼻歌を歌いつつ通う通学路

「おいしょ〜!」

そこで毎日聞こえてくる野球部の声

「おいしょ〜!」

もう慣れた
あの声は同じクラスの沢村くん ちょっとバカ そしてちょっと好き

クラスでのギャップがある沢村くんは本当に格好いいと思う

この曲にあってる
この曲はラブソングとかじゃないけど元気が出る

沢村くんもそんな感じ


「おはよう」
「おはよー」
「はよー」

様々な挨拶が飛び交う中
私は席につく

家からここまで延々と一曲だけをリピートしてたけどここで曲を止める

そして沢村くんはこの教室に来るわけだ

「おはよう 沢村くん」

「あ おはよう 麻日奈」

これがいつも通りの朝
いつも通りの1日を終え
いつも通りの放課後になる.....はずだった

「ない」

机の中 鞄の中 トイレ ロッカー 教室中
全てを探したけどなかった

私はもう一度机の中を覗きこんだ

やっぱりない
私の携帯 あれにしか曲は入れてない 携帯なんてほとんど使うことはないからなくしたって構わないけど あの曲が入っているから話は別
どこだろう 落としたのかな?

「あれ 麻日奈?」

「沢村くん… 部活は?」

「俺は補習で… !! まさか麻日奈も補習…」

「違う!」


もう バカだなぁ
…うん 元気が出たかも
もうちょっと頑張って探そう きっと見つかる


「なんか探してんのか?」


机の中を覗きながら私は答える

「うん でも見つからない」

「大事なもの?」

「うん あれがあるから元気が出るの 1日元気が出るの」

「任せろ!」

「え?」ガンッ!

痛い 沢村くんの任せろ!っていう言葉が気になって勢いよく頭をあげて机にぶつけてしまった


「いっ」

「だっ大丈夫か!?」

「…うん 沢村くんそれより何を任せろっ
て?」

「俺が探してくる」

「え…」

「大事なものなんだろ!」


沢村くんはそう言うと走って教室を出ていってしまった


「ほんとに行っちゃった…」


まさか私のために沢村くんが動いてくれるなんて思わなかった
でも沢村くんのバカで真っ直ぐなとこ 私を元気にしてくれる


“曇った日でも 雨の日でも 君は明るく元気な太陽

私の心が曇りでも 君が居れば心は晴れる

Thank you. my heart -- the sun

ありがとう 私の心の太陽よ”


沢村くんは元気をくれる この曲と同じ様に

ちょっとバカで ちょっと好き


─────────────‥

「沢村くーん!」

「なんだよ!?」

「何をなくしたか教えてないよー!!」

「!!」

2人で探して出てきた携帯
これは今日 お気に入りの曲と2人の思い出の2つ詰まった携帯になった





ねぇ もし君に好きと伝えたら…

君はまた私に元気をくれる?



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