入学式─‥


「あ?かわいい子?」


「そうそうかわいい子入らないかなーって」

「そんで彼女になってくれないかなーと」

呆れた奴等だそんな浮わついたこと言ってると先輩達になんて言われるか…

「寝言は寝てから言えよ」

「つれねーな倉持 夢くらい見たっていいだろ?」

「でも実際付き合えたってすれ違いで別れることがほとんどだって門田先輩言ってたぜ」

「え!?あの人あんな強面で彼女いたのかよ」

「お前それひでーぞ」


「おいお前ら…」


くだらねー話を俺達がしている中無視を決めこんでいた御幸が話しかけてきた


「めちゃくちゃかわいい子今年入って来るぜ」


「「「は?」」」

誰に告白されようが見向きもしなかったこいつの発言にもしかしたら御幸はもうすでに彼女がいるのかもしれないと俺は考えた
友達いないくせに生意気な奴

そのくせ見たことがないデレデレした顔を俺達に見せやがった

…気になるな

ってことで同室の沢村に聞いてみた

「かわいい子?」

「御幸の彼女かも知れねーんだよ 心当りねーか?」

「今日入学式だったんですよ まだクラスメイトの名前だって覚えてないのに知るわけないじゃないっすか」

「…それもそうだな お前に聞いた俺が馬鹿だった」

「なんか使えねー奴呼ばわりされた気分なんすけど…」

まだぶつぶつ言ってる沢村は置いといて御幸にもう一回聞いてみるかと考えていると
沢村はあっ!と思い出した様に声をあげた

「そう言えばいましたよ!」

「本当かっ!?どんな奴?どんな顔!?」

「顔はまぁ綺麗な顔で…あっ」

「何だよ」


「名前はミユキって言ってました」


「ミユキ?苗字かそれ?」

「さぁ?」


そんなこんなで次の日1年の教室に来た俺
沢村の話によると…

『ちょっと沢村栄純ってあんた?』

と話しかけられたらしい

『初日から生徒手帳落とすとか信じられない』

『! ありがとなっ 探してたんだよ』ニッ

『!! …たっ…たまたま拾っただけだし』

そう何故か顔を赤くして照れていたらしい
でもそれって…いやまさかな



『お前名前は?』

『ミユキ』

『いい奴だなミユキって』

と、なったらしい

そこら辺にいた奴捕まえて沢村を呼び出した
そいつは俺を見てちょっとびびっていやがったがまぁ気にしない

「おーい沢村ー先輩呼んでるぞ」


「なんすか?」

「で、誰だよそのミユキちゃんって奴は」

「あー あれ?さっきまでいたんですけど…」

同時刻─‥

「御幸君女の子が呼んでるよ」

「女の子?」

そうして扉の方に行くと俺の大好きな奴がいた

「あの子誰だろーね 超綺麗な子だった」

「もしかして彼女?」

「ん〜でもどことなく御幸君と似てるような…」


不機嫌そうな顔は相変わらず♪
久しぶりの再会…!

と、思ったら
俺の顔面に拳がめり込んできた

ドシャッ
「〜ぁ!って〜」

不意の攻撃に対しての驚きと本気のグーパンチによる痛みで涙が出そうになり顔面を覆う
そうしている内にドサッと横から音がした

「何だよコレ」

「親から 必要そうな物持って行ってくれって 私が持ってけば送料なしだからって」

メールすれば取りに行ってやったのにさてはこいつ同学年に兄妹だと思われたくないんだな

無愛想なこいつにあえて言ってみる事にした
ま 俺に向かって暴力普通に振るう奴なんだからこれくらい言ったっていいよな

「何で青道に来たんだ?」

何でも見透かしたように笑ってやると目をそらされた
でも更に追い討ちをかけてやる

「昔から道を選ぶのに迷うと俺のあとをとりあえずついて来る癖変わらないな、お前」

こっちを見ようともしない 図星ってヤツだ

「私立に入るって金かかるんだぜ?しかも兄妹で俺は寮にだって入ってるお前そんな親の負担考えたことある? お前もアパートかマンションか寮だか知らねーけど借りてるんだろ?」

「…」

「そうやって都合が悪くなると直ぐ黙るとこも相変わらずだな」

さすがにもう止めてやろうかと思って顔ごとそらしていたこいつの顔をもう一度よく見ようとしたら先にこいつの口が開いた

「一也がプロにいけば私のこれからの学費払ってくれるから大丈夫でしょ」


「…」


「よろしく 天才さん」

…ったく簡単に言ってくれるぜ 俺がこれから不調になったり怪我したりとかする可能性は0じゃないってこと分かってねーよな

不敵に笑うその顔はどこかで見たことがあった
まぁ 鏡とかそんなとこだけど

あ…そう言えば一番大切なこれ言って無かった
立ち去るその背中に俺は声をかけた


「また一段と綺麗になったな 桜!」


「…」


そうすると無表情になり黙って俺の元に帰って来た
何をするかと思えばおもっいきり足をあげる顔を今度は蹴られると思いガードすると座っていてかなり無防備だった俺の大事なところをダイレクトに踏みつけやがった

「ぁああああああああ!!!」


─‥

ちくしょー結局帰ってこなかったな〜
2年の自分の教室に帰ろうと歩いていると随分と綺麗な顔立ちの子とすれ違った

あんなの2年にいたのか…

驚いていると何故か股間を抑えて苦しんでいる残念な男が1人

「何やってんだお前」

放課後になりやっと訳を聞けることになったわけだが意外な事実が発覚した

「じゃあお前の言ってたヤツって妹かよ!」

「あぁそうだけど何か問題が?」

「チッただのシスコン眼鏡だったのかよ 余計な詮索するんじゃ無かった」

「は?お前さっきから何言ってんの?」

すっとぼける御幸に沢村の言っていたミユキの話をするもちろん生徒手帳の件も含め

「そりゃ俺の妹だ」

「やっぱりな」

「さーて俺の大事な妹に変な虫がつかねー様、見せしめに沢村シメとくか」

「…」

どうやらこの眼鏡は頭いいくせしてアホだったらしい
面白そうだと思いついていくとあの馬鹿はもうすでにグランドに来ていた

「おい沢村、あんまり御幸に近づくんじゃねーぞ」

「自分から近づいて来ておいて何言ってんだアンタ」

「馬鹿か あのミユキのことだ」

「!」

少し考えた沢村は御幸の顔をジーっと見ると1人納得して
「じゃあ兄妹なんだなミユキは御幸ってことか!」

「まぁそうだな」

「でも御幸はアンタと違ってスッゲー優しいしいいヤツだよ似ても似つかねー」

「お…おう」

どうやら御幸の奴は妹が褒められると嬉しいらしい
自分がけなされてること分かってなさそーだな
そんな二人を見ている内にそう遠くない場所からグランドに入らずに話しかけてきた奴がいた

「沢村〜 練習後ちゃんと汗拭いて風邪引かないように…」

そこでフリーズしてしまった女子を見ると廊下ですれ違ったあの綺麗な顔立ちの子だった

「よっ!」
と、ムカつく顔して笑う御幸
俺がイラっとしていると顔がどこか似ていることに気がついた
こいつが妹かよ

妹は御幸を無視する

沢村はわけが分からない顔しているが妹の元に走って行った

「仲悪いのか?」

「べつに」

「まぁアイツ性格は悪いし何となくイヤなとこあるの分かる」

「…」

「でも俺はアイツに球を受けて貰いたくてここに来たんだ」

「そうなの?」

何を言っているのか聞き取れないが妹は意外そうな顔をする

「ここだけの話 スゲー人だよあの人は」ニッ

「!! …」

妹は顔を赤くして下を向いてしまった
どうやら俺の予想通り妹は沢村に惚れている
しかも笑顔に弱いときた よく笑う奴だからな

「…べつに嫌いとかじゃないから」

「? そうなのか??」

「うん」

青春している後輩たち
そろそろ横槍いれにいくかと思って歩こうとした俺

そう言えば御幸は…と横を見ると

「沢村〜ぁ!!」
と俺よりも早く沢村達の元へ走って行った






「御幸と御幸じゃ紛らわしいから私のこと桜って呼んでいいよ」

「あ〜それもそうだな!!」

「(そうはさせるか!)沢村!俺のことを一也って呼べ桜じゃなくて」

「何言ってんだお前…」



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