ねぇ 知ってる?

どんなに優しい言葉をくれたって永遠なんてありえないんだよ

永遠に守ってくれるわけじゃないんだよ

その場限りなんだよ

イツワリナンダ…ゼンブ



いつからだっただろうか?
現実を見れるようになったのは

今日もどうせ眠れないので考え事をしていた

夜は眠れない 暗闇のなかで眠れば二度と帰ってこれないような気がするから 『怖い』
そんなんだがらいつも授業中は寝てる 昼間はまだ寝れるのだ


「─麻日奈さん! ダメだこいつ全然起きねー」

「もーめんどいから決めちゃおうよ」

「さすがにそれはヤバくね」

「チッ 早く起きろよ…」

色々声が聞こえて起きた
私が起きていたことに気がつくと慌てたように苦笑い 焦った顔をチラ見すると私は笑うことはできなかった むしろ無表情だったんじゃないだろうか

内容は修学旅行の班行動の話

私というハズレくじを引いてしまったこの人たちは一応私に意見を聞きに来たようだ

「いいよ どこでも」

「そう! 分かったー」

心底嬉しそうなその顔を見ると修学旅行なんて行きたくないと思ってしまった


放課後─‥

さっさと帰ろうと荷物をまとめていると遠慮がちに話しかけてくる人がいた "みなみ"だ

「…あのさ 本当に戻ってくる気はないの?」

その言葉に顔をあげると目があった
すぐ目を反らすそのしぐさは相変わらずとだと呆れる反面 イラついた自分もたしかにいた

「私がいない方が争い事がなくてあなたも楽でしょ?」

「! …何でそんな言い方するの!? 私は桜ちゃんのこと心配してるのにっ!」

高い声が睡眠不足でボーッとした頭に響き 頭痛がした

「何でって…みなみが私の質問に違うって即答できないから」

「…ぁ それは…」

「…偽善者」

低く呟いた私の言葉に泣きそうな顔になっていたのは分かったけどかまっていられなかった

逃げ出したかった

酷い言葉なんて言いたくない 自分が言われるのが嫌だから




そもそもの原因は私の所属していた部活にあった
女子部員達は様々な陰口を叩きあい私は正直それがストレスになっていた

『(部活で話す必要のある内容か? ここはあなたたちの休憩場所じゃない)』

元々仲が悪く 話もしなかったこともしなかった
そんな私とその人たちの仲介をしてくれていたのはみなみで相談役になってくれていた

『もう やめようかな…もうこんな面倒な部活嫌』

『そんなこと言わないでよぉ まだまだこれからじゃない』

『あの子達私の悪口だって言ってるしはっきり言ってみなみがいてももう無理だから』

『!! …』

そう言った私はみなみから目を背けた
だからその時あの子がどんな顔をしていたかなんてわからなかったけれど

今では後悔してる

見ていればもしかしたらこんな私にならずにすんだのかもしれないから



『私が一緒にいてあげる! 絶対に離れない だから怖くないよ!!』



『何言ってるの 怖いだなんて一言も言ってないけど』

『だぁいじょーぶ!』

どうして?

あの時どんな顔をしてそんなことを言ったの?





『やっぱ ムカつくよね』

『うん』

『死ねばいいのに…』

『こっち見てるよ』

『うわっ キモいキモい』


…言われた 覚悟はしてたけどやっぱり

…?

みなみ? 何でなんでもない顔してるの?

何でこっちを見ようともしないの…?





『うそ…』


部活をやめた原因なんて最終的にはそっちの方が傷ついたからだ

その場限りの言葉だったのに
信じて 頼って 執着してた自分

馬鹿みたい




で 部活をやめた私は今に至る

1人帰る道

寂しくて見ていれない独りぼっちの影


それが嫌で走って帰る




あぁ 何でこんな…




「さぁこぉ」

? さーこ?? 誰?

「もう一丁!」
「おぇ」
「こー!」

「どうした内野 声出てないぞ!!」

「まだまだぁ!!」

不思議な声に誘われていくとそこにはグランドで野球部らしき人達が練習をしていた

下向いて走ってたせいで知らない所にきてしまったらしい 学校らしき場所…
座れそうな場所に腰を下ろすと徐々に眠気がきた


いいな
私もあんな風に何も余計なこと考えることなくまっさらな気持ちで部活がしたかった…とか眠りに落ちる前にそんなことを思っていた



─‥

「誰だこいつ」

「うちの制服じゃねーよな」

「あ おーい 御幸! この子誰だか知ってっか?」

「何で俺に聞くんだよ」

「お前のファンかと」

「ばーか ちげーよ」

そう言って御幸達は去っていったけど

ホントに

「誰だこいつ?」

─‥


「─っい おい!」

遠くの方で声がして呼ばれてるような気がしたから目が覚めた



「だれ?」

そう横になったまま言うと声をかけてくれたであろう男の人ははぁ?って顔をした

「いや それ俺の台詞」

「....あぁ そうだよね」

彼は手を私に差し出すので私はなんだ?と疑問に思いつつ彼の手の上に私の手を置いた
なにこれ? 犬が飼い主にお手してるみたいと考えていると彼は私の手を握り勢いよく私を引き上げた

「ぅわっ!」

彼と目線が合ったと思うと直ぐに目がそらされた

「お前…」

「はい?」

「…やっぱりなんでもねー さっさと暗くなる前に帰れよ」

そう言うと彼は振り返ることもなく行ってしまった

「クスッ」

どこか不器用な人…
暗くなる前ってもう暗いよ
少し暖かい気持ちに触れた気がして不思議と笑みがこぼれていた

確かに帰らないといけないと思い歩き出した私

あ…知らない場所だったんだ
そういえば

携帯…ない …まさか落とした?



─‥

アイツ…

『…なん…で?』

寝言なのかポツリと呟いたその言葉が気になった
涙がこぼれていてたまらず俺は拭いてやって声をかけたんだ

まだいるか?

そう思ってあの場所に戻るとそこには誰も居なくて 携帯が1つ残っていた

─‥

「どうしよう、わからないよ」

泣き出しそうになっていた
でもふと思い返すとろくなことがないこの人生 いてもいなくても同じだと思われる残念な人生

このまま失踪でもしてみようか

そうこの人生を諦める決意が出来たとき
笑いが込み上げてきた

「楽しかった もういいや ははっ もうやーめた!

やっと終わる。」



「何独りで笑ってんだ」

「!!」

気づくとそこにはさっきの人が立っていた

「…」

「ん!これ忘れもん」

彼の手には私の携帯

「わざわざ?」

「そーだよ わざわざ」


ボソッ「ほっといたら取りに行ったかもしれないのに」


私が呟いたその一言に彼は顔つきを変えた

怖いくらいに

「ふざけんな」

「…」


「終わるとかほざいてた奴が何嘘ついてんだ平気で

簡単に死ぬとか言うなよ なめてんのか」

別に死ぬなんて言ってない
終わらせるって言っただけ
そう冷静に分析していた

でも、言葉は勝手にこぼれていた

「でもさ
もう辛くて 人に失望して 夜が怖くなって そんな自分が嫌いで
それでも何処か生きることに執着して 人を信じたくて

もう この矛盾した自分に疲れただけなの

だから 許して こんな私を」

「俺にそんなこと言ってどうすんだ」

冷たい一言を1つ彼は置いて
そして私に携帯を握らせた

「許すなんて俺の口から言う資格なんてねーよ ただ俺の言いたいことは1つ

“生きている”お前に俺はまた会いたい」

「…!」

そうして彼は去っていく
「今度会うときはもっとマシな顔してろよ」
そう言ってまたしても振り返らずに去っていく
不思議な人

私は叫ぶ

「なんでそんなこと私にあなたは言ってくれるの!?」

そこで彼は足を止め振り返った

「お前の寝てるときの泣き顔が…」

そこで止まって顔を赤くした彼は

「バカみてーって思ったからだ」

「は?」

諦めていた人生を真っ暗な人生を
バカにされた

でもそれは確かに彼が蹴散らしてくれたということでもあった
私の固定概念を


偽りではない不器用な優しさがたしかにそこにはあった






「(ほっとけねーって思ったからだなんて、真顔で言えるか!)

…お前の周りの全てがこの世の全てだなんて勘違いしてたら蹴飛ばすからな!」

「!!…そっか、そうだよね」



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