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「お前なんで青道に..」

栄純の第一声はそれだった。

落ち着いた場所で栄純と私は話すことになった。
3年生の皆と別れた後、私は栄純が5号室の扉から顔をひょっこりと覗かせてるのを見つけた。話してこいよと洋一さんが気をつかってくれたと栄純は教えてくれた。

「お父さんがね、こっちで仕事することになったの。だから、私も高校の内はこっちで暮らすことにしたの。」
「…そうか、蒼一がいるのか。」
「ねえ、栄純?」
「なんだよ?」
「お父さんがプロだったって知ってた?」
「はあ?俺だってそれくらい知ってる!」

…結局、知らなかったのは私だけか。
栄純は納得してくれたらしいけど、少し呆れ顔。

「..若菜と喧嘩してた理由ってコレだったのかよ。って言うか、俺に何で隠すんだよ?」
「サプライズ?」
「はあ!?」
「いいじゃん!面白味があって。」

笑う私に馬鹿じゃねぇのかと怒る栄純だけど、でもそこまで怒っていないように感じる。
こんな会話は地元と全然変わらない。場所は変わっても変わらないものが、確かにここにある。そんなことが、少し寂しさを感じていた私の気を紛らわしてくれた。

「......私が、青道に来ることができたのって栄純が来るって分かってたからだったのかな。」
「...!?」

ポツリと出た言葉に、私自身驚いていた。横に座る栄純はもっと驚いていた。
でもホントに言葉通りなのかもしれない。そう思ってしまうのは、栄純を東京に来て初めて見た時どこか安心している自分に気がついていたからだ。

「...東京には昔からよく来てたけど、数日泊まる程度だったし。今日からここで暮らすんだって思うと、どこか不安で...。でも栄純は、自分の力を試したいという想いだけで、ここに来ることを選んだ。その決断はすごいことだと思う。」
「桜...」

「そんな栄純を応援するよ、私は。どこの誰よりも。」
「....っ!」

私の言葉に目を見開いた栄純は、顔を逸らして全くこっちを向いてくれなくなってしまった。そんな栄純を軽く叩いたりしてみたりはしたものの、反応がない。

「もしかして、照れてるの?」
「照れてねぇよ!」

そんな様子を堪えて笑いつつ、こっそり出した携帯で写メを撮った。

「は!いつの間に携帯買ったんだお前!!」
「おじいちゃんとおばあちゃんにこの間買って貰ったんだよー、ちなみに栄純のメアドも知ってるから。」
「ハァ!?お前ら影でこそこそやりすぎだろ!」

写真を見せろと掴みかかってきそうな栄純をなんとかかわし、私は若菜ちゃんに添付画像とメッセージを送った。

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若菜ちゃんへ

我らのヒーロー(栄純)と合流したよ(^-^)v



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