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栄純は何か言いたそうにしてたけど、3年生になった皆が集まって来てしまったから、洋一さんに連れられて一旦寮の中に入っていった。

「いつ決めたんだよ?」
「去年の夏休みだよ。皆をびっくりさせようと思って黙ってた。」

ニコニコしてる私を心配そうに見つめる、皆。
え?予想外だ。

「桜、ホントにお前大丈夫か?」
「友達とか作れるか?」
「寂しくなったらいつでも3年のとこ来いよ?」
「しっ…心配しすぎたよ…たぶん大丈夫だよ!信じてくれないかな?」

「「「「信じるけど、心配。」」」」

心配性だな皆、案外。確かに色々と不安はあるけど…なんかそうやって心配される方が逆に…。
さっきとは逆にだんだん沈んでいく気持ち。皆に喜んでほしかったのに、私の高校生活の方を気にしてくれるとかなんだか嬉しいけど、ちょっと悲しい。

そんな時、純さんは言う。

「てめぇら、桜が来て嬉しくねぇのかぁ!?」
「伊佐敷…」

純さんの言葉に皆は口々に、そりゃ嬉しいよなと言ってくれる。そして純さんは私の前に立つと。

「俺は…そのっ、…凄く嬉しいからな!」
「純さん…」

そう言って私の両肩に両手をぽんっと置く。気遣ってくれていることがわ分かるから、それがとても嬉しくて笑みがこぼれる。

こういうとこ、純さんは1年の時から変わらない。さりげない気遣いや、人をちゃんと見てくれているところ。

そんな純さんが大好きだ。

そう思っていたのは束の間、亮さんがひっそりと純さんに近寄り恒例のチョップをする。ドスッと。

「痛ぇ!おいっ亮介!!」
「桜、俺達は心配はするよ。だって桜のこと大事だから。」
「おいっ無視すんな!」

ギャンギャン騒ぐ純さんは後ろで取り押さえられる。それを気にせず、亮さんは続けて言った。

「でも、あの泣き虫なお前がこうやって自分で決断して来たんだ。その事の方が嬉しいし、だから帰れなんて絶対に言わないよ。」

「…亮さん。」

「俺達だって一緒だ、桜。」

そう言う楠木さんの言葉に皆は頷いている。

それから哲くんが背中をポンと叩いて、よかったなと言ってくれたことで私はさらに顔が綻んだ。

それにしても…皆、私の保護者みたいだよね。
って思ったのは口には出さなかったのに、亮さんには小突かれた。

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