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▼ 決めた

試合はあの人の登場で大きくかわった。成宮さんの登場によって…。
哲くんに打たれたものの、成宮さんは完全に青道を抑え込んだ。
誰もが目指してきた甲子園の夢が、ここで3年生達は途切れたのだ。
青道を応援する誰もが涙した。

それは私も例外ではなかった─‥

白いユニフォームの人達が行き交う中私はただ一人泣いていた。そしたら案の定成宮さんと雅さんは来た。

「桜〜なんでこっちに来てくれたにも関わらず泣いてるの〜?あ、まさか嬉し泣き…」
「グスッ 違う!! 青道が....っ負けたから...」

つい強い否定をしてしまう。だって成宮さん本当に無神経なんだもん。

「桜って俺にだけ冷たいよね...。」
「嫌われてるからな。」
「あまり好きじゃないだけ...。」

私は青道の2年生だけじゃなく3年生達の活躍だって見てきた。東さんを始めとしたあの強力打線をまさか成宮さんに...。

悔しい。

でも皆の前で泣くことなんて出来ない、だって悔しくて堪らないのは皆の方なんだから、選手達の前で泣けない。

でももっと悔しい事は…
「試合前に皆に“頑張れ”って言えなかった。高校野球に次はない、なのに私は一時の感情に任せて言えなかった。」
「それを俺達のところで言うんだな…」
「決めた。私、青道にいく。皆の側で、あの場所で、もう後悔しないように…後悔したくないから。」

これが私の決意だ。

「マイペースなところは相変わらずそうたそっくりだね。でもそういうとこも好きだけど。」
「...ごめんね。雅さん成宮さん、こんなこと言って。」
「そこスルー!?」
「やりたいこと見つかってよかったって事にしとけ。」

そう言って成宮さんを宥める雅さん。この2人って…いいバッテリーだよね。

「青道が負けて腸が煮えくり返りそうだけど2人とも次の試合頑張ってね。甲子園行かなかったら許さないから。」

なんかめちゃくちゃなことを言っている自覚はある。でも雅さんは、お兄ちゃんと共に過ごした時間が少なからずあるだけあって、私の本当の気持ちをすくいあげてくれた。

「先輩の分まで俺達はやるぜ。」
「私が本当にそれを願ってると思う?」

少し笑って聞くと雅さんは呆れたような顔をした。

「お前は嘘をつかないし、顔に本音が書いてあるんだよ!」
「…え、顔!?」

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