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▼ その方が幸せ

「イタいひとですよね...この前の..」
「ヒャハハ お前いつの間にイタいひとになったんだ?」
「…」

そうだ、お礼言わなきゃだ。少なくともこの人のお陰で倉持さんと今こうしていられるわけだし。

「あの....あの時は..ありがとうございました...」
「上手くいってよかったよ。」

近くで見ると本当にイケメンさんでびっくりした。

「なんかよくわかんねーけど…」
「倉持なんかに教えられねーよな、ね?桜ちゃん?」
「はっ…はい 教えられません」

御幸さんが頭を何故かポンポンするのでなんだか安心した気持ちになって笑っていたら…

「ポンポンするんじゃねーよ、お前も頬赤らめるな!」

怒られてしまった。

─‥

3人で話していて分かったことは御幸さんはすごくいい人ということ。イケメンさんだし性格がいいし完璧じゃないの!

「御幸さんって有名人だったんですね。友達が持ってた雑誌に載ってましたし、性格もよくてイケメンさんで…」
「おい待て、性格悪いぞこいつは。」
「倉持さん、人をそう簡単に悪い人と決めつけちゃダメですよ。」
「そうだ、ダメだぞ倉持。」
「うぜぇ、…麻日奈は人を信用しすぎなんだよ。お前の周りにいる奴、全員がいいやつなわけねーのは分かってるだろ?」

倉持さんに最初に出会った時のことを思い出す。たぶんそのときのことを言っているんだ。確かにあの時私は悲しい気持ちになって、自分が情けなくなった。

でもね、倉持さん。

「人を信じられないとか、悪い人だと決めつけるとかより、その人のいいところを見つけられたらそれでいいかなーって思うんですよ。世の中生きていくにあたっては苦しいことも楽しいこともある、だったらその方が何千倍も幸せだと思うんですよ。」
「…そうかよ。」

倉持さんは納得いかない顔をしていたけど、それでも目は優しかったから、きっと分かってくれたと思った。

『損することなんて世の中には沢山あるけど、お前みたいな損の仕方なら俺は好きだ。それが俺の思うお前のいいと感じるところなんだよな。』

そう言えばお兄ちゃんがそう言って私を褒めてくれたんだっけ…

「あ!」
「ん? どうした?」
「次の対戦相手って何処ですか?聞くの忘れてました…」
「ヒャハ お前俺達の応援しに来たんじゃねーのかよ!」
「聞くの忘れちゃったんです。」
「なんかそういうとこ可愛いね、桜ちゃん。」
「え」
「おい!」

最後に爆弾発言をした御幸さん。掴み所がないぞこの人…

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