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▼ 迷い 1

新学期。
桜もようやく咲き、素晴らしい季節だ。
長野は広いから北のはしっこと南のはしっこじゃあ気温も違う、標高も高いとまた桜の咲く時期が違ってくる。
東京と長野で二度楽しめるだなんてなんて幸せ〜

そんなある日、もうこの学校ともあと1年でお別れなのかと時の流れの早さに溜め息が出ていた。

「私達もう3年生かー。」
「あぁそうだなー。」
「反応薄いよ。」
「お前だってだるそーだろーが。」
「今年で赤城中廃校でしょ、なんか寂しくてさ…」

私の言葉にはぁ?って顔をする栄純。何よ、栄純だって同じくせに。

「だから、一緒に野球やろうっていったじゃねーか!それをお前、『私、スポーツできないから無理。』って言ったの覚えてねーのかよ。」
「それくらい覚えてるよ、栄太郎みたいにバカじゃないもん。」
「俺、栄純だって!!」

言い争う私たちの前にじとーっとした顔でこちらを見つめる先生がいて、そう言えば授業中でした。

「おい、お前ら…授業聞く気ないだろ。」

「なんで覚えねーんだよ?まさか…! わざとか、わざとなのか!?」
「先生、私はありますよ。」

未だにブツブツ言う栄純を放っておき、キッパリと先生に言う。

「いや…聞く気ないでしょ、あんたら。」

若菜ちゃんは呆れた顔をしていた。

放課後─‥

「いやー、怒られちゃったねー。」

皆で歩く帰り道、あの後先生に私と栄純はこってり絞られてしまった。なんか春だとポカポカ陽気で浮わついた気分になってしまう。若菜ちゃんには、年中授業妨害してるでしょと言われてしまいそうだけど。

「あんた達、授業妨害も大概にしないと今年受験でしょ?内申書大変なことになるよ。」
「大丈夫だよ、だってあれ悪いことは書かれないから。…あれ、そういえば今日若菜ちゃん達部活は?」
「今日は休み。」
「え、そうなの!?」

どうりで今日は帰りが早いわけだ。
じゃあ話は早いと先ほど思い出したある提案を皆にする。

「じゃあ、皆で桜祭り行こうよ!!」

桜の満開の時期に開かれるのが桜祭り。私は毎年お兄ちゃんと栄太郎と行っていた。

「あー、そう言えば今日か…」
「栄ちゃん達いつも3人で行ってたもんね。」
「そう!でも今年は皆で行こうよ、いいよね?若菜ちゃん!!」
「別に私はいいけど…皆は?」
「じゃあ、行こー!6時に現地集合で。」

私は全速力で家に帰った。

「…桜ちゃんって、強引というかマイペースというか…」
「いつものことだろ。それに俺はアレが毎年2人もいたんだぜ。」
「お祭りだと桜とそうたさん、よく騒ぐから私は栄純に任してた。」
「「「「なるほど…」」」」

そんなこと言われてるなんて全く知らず、遊ぶぞーと私はかなりうかれていた。

─‥

散々遊んで、ようやく始まった花火を見ようと適当な所に座っていたら、お手洗いから帰ってきた若菜ちゃんが辺りを見回した。

「綺麗な花火だよねー。」
「うん。…栄純達は?」
「さっき射的がコンプリートできそうだからって、また行ったみたいだよ。」
「花火見る気なしね。」
「そうみたい。」

そう言い2人で顔を見合わせ、笑いあった。

夜空に咲く大輪の花達を私達はただ見つめていた。

「若菜ちゃん…私達今年受験だね。」
「うん、何?なんか不安でもあるの?桜の頭なら全然大丈夫でしょ。」
「うん…それはそれでいいの。でも…私ね、迷ってるの。」

迷ってる、その言葉に若菜ちゃんは花火を見ていた視線をこちらに向けたのが分かった。

「東京の高校に行くか、長野の三好高に行くか。」

「え?」

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