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▼ 先輩と後輩

【伊佐敷純視点】

泣かせたことが何よりも許せなかった。
桜が許したとしても、俺は絶対倉持を許せねぇ。

「泣いてただろうがっ!!!」
「…」
「桜をなんで振った!?」

何も言おうとしない倉持に理不尽なことを言ってるのは百も承知だ。でも、もう悲しむ姿なんて見ないと思ってたのに、あいつの泣いてたところを見て黙っていられるわけがねぇ。

「俺には無理です」
「あ?」
「伊佐敷さんが麻日奈を好きなことをわかってて麻日奈の想いを受け入れることなんて、後輩の俺には無理です。」
「なっ、お前!」
「知ってました。気づかないわけないじゃないですか。」

そんな理由で振ったのかよ、こいつ…

「じゃあ、お前は桜のことは…」
「そんなことどうだっていいんです。俺に文句つけるなら、やることやってからにして下さい。」
「は?」
「伊佐敷さんの想いを伝えてからにして下さい。」

いいと思ってた俺の想いなんて、だけど後輩にここまでさせて伝えない方がいい想いなんてあるかよ。
後輩のくせに生意気な事言いやがって!

「後悔するなよ、馬鹿野郎!!」

ちくしょう、先輩のくせに後輩に後押しされてからの告白かよ。

桜、俺はお前が好きだ。

伝える。

たとえ結果は決まっていたとしても…

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