大好き! | ナノ


▼ え? 知らないよ!! 2

今日は暖かい、春って好き。桜も咲くきれいな季節は落ち込んでいた私を、高揚させた。
将司は国分シニアで随分と活躍している。中学時代はなかなか活躍できなくて、体も小さくて守備もいまいちで目立たなかった哲くんのことを考えると、凄いことだ。そんな哲くんが今じゃ…、ん? そうすると将司…中学生にしたらかなり大きい。

そんなことを少し考えつつ、将司を応援をして、今は将司の帰り待ちである。
あ! やっと来た。

「ほい」

スポーツドリンクを将司の頬にくっつけてみた。よくあるよね、びっくりした?みたいなドラマのシーンが。
将司は微妙な顔でこちらを振り向いた。

「…ぬるいな。」
「春だからね。」
「…。」
「今日も活躍してたね! かっこよかったよ将司。」
「その前に、お前ちゃんと野球分かってるのか?」
「…はは、まぁ勉強中だからね、まだまだこれからだよ…ははは。」

目を逸らす私に何か言いたげにこちらを見る将司。何を言うつもりだ?

「今日はなんで行かなかったんだ?」

青道に…か。
言えるわけないじゃないか。

「女の子にはブルーな日があるから、ノーコメント!」
「…」

やなこと聞かれるなー。まぁ、それが普通だけど。

「野球のこと聞きたいなら蒼一さんに聞けばいいだろ。」
「は? 私とあの人の仲知ってるでしょ?? 無理無理。」
「普通に話してただろ。」
「あれが普通だったら、世の中の仲の悪い親子の大半が普通の親子になるよ。それに私はまだ…、」
「許せないのか? 長野にそうたさんとお前を置き去りにしていったことを。本当は違うだろ?」

やっぱり分かるんだ、将司は。

「…うん。ついキレて怒っちゃったけど…、あの人自身は反省しているみたいだし。それでもいろんな気持ちはある、だから半分半分くらいかな。」

家族って…、親子って…、どんなものなんだろう。ふとそう思った。

「…寂しい思いをした家族は…我慢できる人達もいるけど、それが原因で壊れていく家族もあるんだ…、お前たちがそうであったように、でも」

将司は歩みを止め私を見た。

「そんな状態から歩み寄ろうと考えることができた蒼一さんはすごいと思う。そして、桜、お前も。 」

なに言ってるの、ばか。でも、ありがとう…。
将司の言葉がすごく暖かく感じて、私は少し笑った。

「…私はなにもしてないよ、だから頑張ったのはあの人だよ。」

私のその返答に将司は反論するわけでもなく、ただ、そうかと呟いた。
2人で暫く歩いていると将司はある提案をした。

「蒼一さんの出る試合見に行ったらどうだ? 野球の勉強にもなるし、喜んでくれるだろ。」
「え、あの人の試合? なに社会人野球でもやってるの?」

私のその反応にかなり驚いた様子の将司。

「お前それ本気で言ってるのか!?」
「え?」
「あの人はまだ現役のプロ野球選手だ。」

............知らないよっ!!

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