▼ 親子喧嘩は他所でして 2
【沢村栄純視点】
若菜の桜が変だという話を聞き、桜の家を訪れた。
若菜が言うことだし嘘ではないだろうな…桜のことよく分かってるし。それにしてもあいつがイラつくなんて珍しいな。
玄関には若菜の靴があった。挨拶をしても返答がないので勝手に上がらせてもらう。
とりあえず、居間に行くと若菜とじいさんとばあさんがいた。
『あ、おい若菜! こんなとこで何やってんだよ入らないのか?』
『ちょっと栄純、黙ってて。』
『は? じーさんとばーさんも何やってんだよ。』
『見て分からないの?盗み聞きだよ!!』
『…』
盗み聞き?意味わかんねぇ。
3人の見つめる先には桜が電話している姿があった。もしかして、蒼一と話してるとかか?
仕方なく俺も眺めることにした。
『あの〜、おじいさん?』
『なんだい、若菜ちゃん。』
『なんか喧嘩してるっぽいんですけど、大丈夫ですか、あれは。』
蒼一の声が聞こえねーからよくはわからないけど、確かに桜は怒ったような声だ。顔はめっちゃテンパってるけど。
『あまり大丈夫とは言えないけど。懐かしいねこの感じは、桜はそうたとあんな風によく喧嘩してたね。』
『やっぱり親子って似るもんですね。』
そんなことを言っている間に桜はキレた。何言われたんだよ。
『そんな呑気なこと言ってて大丈夫かよ。』
『栄純黙ってて』
『…』
『どんな形であれ、どんな結果になろうとも、一回家族全員で話をすればよかったんだよね 。なのにもう今じゃ…』
ばあさん…
『おじいさん…おばあさん…。でも!今からでも遅くないですよ。蒼一さん電話かけてくるようになったんですから!!』
『遅いだろ、あいつの母親もういねーし。もう戻らねーもんを大切だったって後から気付いたって遅すぎだろ。』
『栄純少し黙ってて』
『はぁ!? 俺今いいこと言っただろ!?』
『桜がどこまで心を開くかだな、問題は。 まだ戸惑ってるみたいだからな。』
『『『うーん…』』』
桜見守り隊が結成していたのであった。
『なんで俺だけ終始無視!?』
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