▼ ごめんね。ありがとう。1
ひとりになると、どうしても悲しい気持ちが溢れてくる。私ってこんなにブラコンだったんだとか思ったりするときもあるけど。
そんな言葉で、そんな一言で、片付けていい気持ちじゃない。
大切な大切な家族が亡くなったんだから。
もう独りだという事が寂しい…
「どうしたの?」
「!」
気づいたら亮さんがいた。
ヤバい…今、泣きそうなのに。
どうしよう、困らせたくない、そうだ帰ろう。
あぁ…でも、いきなり帰ったらなんか変だ。じゃあ…どうしよう。
こんな私を見てクスッと笑い、亮さんは私の隣に座った。
「亮さん?」
「さっきから顔がコロコロ変わって面白い」
「え…」
「出会ってまもない頃から、口数少なくても思ってることよく顔に出てるし」
そうなの!?
じゃあ今までの感情の変化が全て私の顔に!?そんなバカな…
焦って顔を触っていたら、私のそんな様子に亮さんは安心した様に見えた。
「やっと悲しそうな顔じゃなくなった」
「亮さん…」
「何があったとか言いたいときに言えばいい。 どんなときだって、どんなことだったって俺達は聞くよ。じゃ、遅くならないうちに帰れよ」
そう言って亮さんは立ち上がった。
なんで?
なんでこんなにみんな優しいの…?
何も聞かないでいてくれる、突然来た私を一緒に居させてくれる。そんな亮さん達に私はこうして救われた。
そんな人達に何も言わないで、ただ甘えていていいわけがない。
待って!
「亮さん!! 待って!!!私…亮さんに、1年の皆に言わなきゃいけないことがある。亮さんは言いたいときって言ったけどこのままじゃいけないって、きっと哲くんも思ってる。
でも、いけないって一番分かってるのは私なの!私…なの…」
いきなり叫んだ私に驚いた亮さん、でもすぐにいつもみたいに笑う。
「いいの? 俺達は待つよ。だからもっと落ち着いてからでもいいと思うけど」
「もう十分待ってもらったよ。だから、だから…」
俯いてしまっていた顔を亮さんがまた近づいてきたことに気付いてあげると、亮さんが少し出ていた涙を拭ってくれた。
「泣き虫」
亮さんはニコッと笑った。
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