▼ 俺は 1
【原田雅功視点】
ついこの前まで元気にしてた、麻日奈先輩が亡くなった。
同じ捕手で1つ上の先輩だったけどかなりよくしてもらった。
麻日奈先輩の投手へのリードは野球以外のことには、大雑把に物事を考え、済ませようとする先輩には考えられないほどの計算された配球術で、打者の裏をかいた。ボールと判定されてもおかしくない球をストライクに見せるキャッチ ング技術も持っていた。
すごい人だと誰もが見れば分かった。
甲子園にいくという夢を持つ俺達。
向上心をもって練習に明け暮れる日々。
そんな中で、あの人から教えてもらえることはまだまだあるはずだった。
だが、もういない。
目の前には泣いている先輩の妹がいる。
この子を守りたい。
哀れみとかそんな気持ちなんてものよりも一番にそれが出てきた。
麻日奈先輩が残してくれたこの子を、
麻日奈先輩が残してくれた言葉を、
”守りたい“。
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