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「…よし!」
夕飯の支度が完了し、袖を直して前掛けを外した。
窓の外を見てみると、もう薄暗くなってきていた。
空には暗く厚い雲が出ていて、今にも雪が降ってきそうだ。
この地で雪は珍しくない。
今朝も既に、昨晩の雪で地面は一面真っ白になっていた。
だから仕事に向かう彼を、足元が冷えないか、と心配しながら送り出したのだった。
「大丈夫かな…」
ふと、ぽつりと声が漏れた。
この分だと、今夜もまた雪だろう。
最近、降雪続きで地面も滑りやすくなっているし…。
考えれば考えるほど、心配になってくる。
彼が寄り道することはあまり無いだろうが、きっと帰路で冷えているであろう体を、早く家で暖めて欲しくて、私は彼を迎えに行くことにした。
羽織りを肩に掛け、彼の分の羽織りも持って。
少し足早に、薄暗の雪道へ歩き出した。
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