形だけの・・・
フレデリカはある人物を探していた。
その人物はかなりの自由人で演説で寝るような人物である。
探していた人物は廊下でストレッチにフケていた。
フレデリカは話しかけようとしたが、あまりの体の柔らかさに見とれてしまった。
「なんだ、フレデリカ・グリーンヒル」
「先程の会議に無断欠席していたので、お話をしに参りました。」
カーチャルは困った顔もせず、ストレッチをしている。
体がY字ではなく、I字バランスになっている。
「俺の任務はヤンの護衛だ。」
「なら尚更、会議におもむくべきでは?作戦の中に重要なことを言われる可能性があります。」
「あー、仲間にスパイがいる可能性があるから会議に出ろって意味かと。それにイゼルローン要塞攻略に俺の出番はないだろ。」
フレデリカは完全に喧嘩を売られていると気づいていた。
しかし、フレデリカにはこの女帝が自分を試していることにも気づいていた。
「もしかすると虫が閣下を襲うかも知れません。」
「蚊か。」
「蚊です。」
「つか、十三艦隊には虫で例えるのが流行りか?」
カーチャルは脚を下ろしてフレデリカを見つめた。
彼女の品定めが終わったのだ。
「会議に参加しなかったのは謝罪するが、やはりあくまでも護衛役だ。それ以上、それ以下のことはしない。」
フレデリカはヤンが形だけの護衛役を頼んだのだろうと感じていたが、護衛役本人は形だけではなさそうだ。
「・・・あ、キャゼルヌって家族がいるのか?」
「え、えぇ」
「そうか、ならあの賭けは無しにしてやるか。」
フレデリカはどんな賭けかは聞かなかった。