星屑は二枚
無断欠席が大問題になるのは当然である。
ただし、実質トップのラインハルトの部下を連れているということでマーティルダに手を出しにくくなる。
マーティルダを汚す噂が出るだけで、彼女自身に直接の害はない。
マーティルダを誘拐したと相手が言ってくることもないし、入れ知恵したと言うわけにもいかない。
彼女は噂をたてられることを嫌がりはしたが、噂より自らの利益を優先させた。
見合い話は持ち越しになる上に、オーベルシュタインと出掛けることもできる。
これに対し、ロイエンタールが「オーベルシュタインは厄介な女に目をつけられた」と言ったことを、ミッタマイヤーは証言している。
フェルナーはマーティルダの思惑に半分しか気づけていないと思ったオーベルシュタインをさぞ面白がっただろう。
実際オーベルシュタインは彼女が何を考えているか、全てを理解してはいなかった。ただ、見合い話を持ち越す以外の利益が彼女になるのではと感ずいていた。
それを聞かなかったのはオーベルシュタインが自分自身を評価していなかったからで、気にしなかった訳ではない。

「オペラ、あまり好きではなくて。寝てたら起こしてくれませんか」
「・・・」
「あは、冗談ですよ」

マーティルダは本当にオペラが好きではない。
世の中にある催眠で一番効果があるものと認識している。
マーティルダはあることに気付き、オーベルシュタインを見た。目から異様な光が見えた。

「もしかして、義眼の調子が悪いですか」
「今晩調整が必要とは考えていた」
「・・・ごめんなさい、誘って」
「引き受けたのはこちらだ。」

マーティルダはなんとも言えない表情でオーベルシュタインを見る。
納得したような、してないような曖昧な頭をフル回転させてようとして失敗した顔と言うべきか。
マーティルダは仕方なく考えるのをやめた。

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